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カテゴリー "たいせつなもの〈中編〉全15話" の記事

たいせつなもの 15〈完〉

ーーーー 壊れちゃいそうだった あたしのココロ。もう 嘘はつけなかった。自分にも、道明寺にも。『後で、道明寺に全て話します。もう逃げません。』仏壇の前でそう伝えて、腹を括った。ちゃんとしよう。道明寺に全て話して、謝って。それでも、自分勝手なあたしをアイツが許してくれると言うのなら、あたしの持てる全てで、アイツを幸せにしよう。これが最後になるかもしれないと思うと、自分でも驚くくらい 素直になれた。道明...

たいせつなもの 14

「ん~ッ! おいしぃ~ッ」「……ぷっ。」牧野は相変わらず、美味そうに飯を食う。行儀が良いとは言い難いが、ひとくち含む度に足をバタつかせ、手のひらを頬に当てて、何より幸せそうに《美味い》を表現する。そんな顔を見ながらする食事は正に幸福の時間であり、気を抜いたら自分が食べるのも忘れてしまいそうだ。……これじゃ、どっちがメインかわかりゃしねえな。「お前、この後どうすんだ?」「この後?」「きょ、今日はもう時間...

たいせつなもの 13

「んっ……?」目が覚めたら、いつもの朝だった。ただ違うのは、隣には道明寺が居て……ーーーー ってなんで!?てか、コイツ!ち、近い!!なんでくっついて寝てるの!!目が覚めたあたしが一番最初に見たもの。それは、向かい合わせで寝ている道明寺の寝顔だった。「ちょっ、……!……ッ!」ガッツリ巻きついている腕を何とか引き剥がそうと、あたしが一人でもんどりうっている間に、道明寺も目を覚ましてしまったみたいで、「………まきの...

たいせつなもの 12

「どうぞ。」「あ、ありがとう。」お気に入りのソファに滋さんを座らせてから、あたしも正面の座布団に座った。せっかく淹れたので、熱いうちにと思ってお茶を数口含む。「久しぶりだね。元気だった?」「…………ん、まぁ。」招き入れた部屋の中。さっきよりは幾分か落ち着いたのか、穏やかな空気の中で笑顔で言われて、曖昧にしか笑えなかった。久しぶりに会った滋さんは髪が肩まで伸びていて、元々綺麗な人だったけど、眩しいくらい...

たいせつなもの 11

毎日 牧野の事を考えてはいても、仕事の多忙さから会うことが出来ないまま、あの出来事からもう一週間が経とうとしていた。つい最近まで連絡手段すらなかったのに、急速に進展した2人の関係が余計に司に焦燥感を与えた。牧野に会いたい。声を聴いて、抱きしめて。あの事は夢じゃなかったんだと確かめたい。そう思っていても周りの人間が許してくれる筈もなく、司は相変わらず高層ビルの執務室に縛りつけられていた。「司様。」「あ...