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記憶喪失物語。#10

誰かが泣いてる‥‥‥?





後ろ姿しか見えねーけど、そいつの肩は丸まって、震えてるようだった。

『おい、お前どうしたんだよ。』

『道明寺‥‥‥。』

『なーに泣いてんだ。泣くな、ブスが余計にブス顔になってんぞ。』

『う、うるさいなあ!』

『大丈夫だ。この俺がついてるだろう?』

『‥‥‥‥だったら。』

『〇〇‥‥?』

『どうして、見つけてくれないの?』

『あたし、信じてたのに。道明寺が見つけてくれるって。』

『もう、いい‥‥‥。アンタはあたしの好きだった道明寺じゃない。』



゛さよなら‥‥‥゛




『待てっ!』



『行くな!!』









『そっちに行くんじゃねえ、〇〇ーーーーーーー!!!!』









足下が崩れて、記憶はそこで途絶えた。












俺は雑草女を待ってる間にどうやら眠っちまったらしい。

次に目を開けると、病院のベッドにいた。

「俺‥‥‥‥?」


俺は、ゆっくりと起き上がった。


「道明寺!!!!」


目の前には‥‥‥‥女。

おっきな瞳に涙を一杯溜めて、今にも死にそうな顔してやがる。

「バカッ!何で具合悪いなら先に言っとかないの!」

「あんたまた、死んじゃうんじゃないかって‥‥!!」

そういって、女は俺に抱きついてきた。


その時。


見に覚えのある、ふんわりとした柔らかい香りがして、ひどく俺を落ち着かせた。


「‥‥‥お前って、さ。」


俺は続けようとしたが、ワンワン泣き続ける女の声にかき消されて、俺の声なんか聞こえちゃいねえ。


「ふうっ。」


俺は諦めたように、ため息を一つ落として。

まだワンワン泣き続けてる女の頭と腰にしっかり腕を絡ませて、抱き締めた。


「うん、ごめん。ごめんな。」


「もう大丈夫だ。だからんな泣くな。」

絡ませた腕を少し緩めて頭を撫でてやると、女は少しずつ落ち着いてきた。

グスッ‥‥‥

「よかった‥‥道明寺‥‥。」

「んな泣くな。ブスが余計にブス顔になってんぞ。」

「う、うるさいなあ!」


‥‥‥あれ?


「‥‥これも夢か?」

「‥‥何言ってんの?道明寺。」

女は俺から少し身体を離して、顔を覗き込んだ。



「さっきも同じユメ‥‥見た。」

「夢‥‥?」

「誰かがずっと泣いてて‥‥」

「俺は泣くなっつったんだけど、そいつは‥‥‥」

「その人は‥‥‥?」


ドクン‥‥‥



つくしの心臓の音が、跳ねあがる。



ドクン‥‥‥



「俺なら‥‥‥見つけてくれるって思ってたのにって。」



ドクン‥‥‥



「なのに、何で見つけてくれねえんだって。」


司の顔が、苦悩の表情に変わる。


「‥‥俺だって、早く見つけてえんだ。」


ドクン‥‥‥


「どうみょ‥‥」


「思い出してえんだよ‥‥‥!!」


そこまで言うと、つくしを抱き締めていた手を離した。


「ちくしょう‥‥みっともねえ‥‥」

空いた両手のひらに、今度は自分の顔を埋めた。












‥‥‥バカだ、あたし。


どこかで、つらいのはずっとあたしだけって思い込んでいたのかも知れない。


目の前に居るこの人は、こんなにも苦しんでいるのに。










ふわっと、また同じ香りが漂う。


顔を覆った上から優しく抱き締められた。






暫くそのままでいると、次から次へと頭の上に落ちてくる冷たい感触。



「あたしが、支えてあげる。」



ーーーゆっくりと、身体が離れていく。



「あんたを世界中の誰よりも幸せにしてあげるよ。」


そう言って見上げた女の顔は涙でぐちゃぐちゃで‥‥‥


なのに、微笑んだ顔がとても綺麗で。





最近、違う女に似たような事を言われた時は何にも感じなかったのに。








なんで、こんなに胸が苦しいんだ。




なんで、こんなに胸があつくなるんだ。









なんで、俺は泣きそうなくらいに嬉しいと思ってるんだ。







記憶を失ってから 愛しい と初めて感じた。




  な  ん  で   ?









そうか‥‥‥‥。




「お前だったんだな。」







ーーーーーやっと、見つけた。
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