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記憶喪失物語。#11

「牧野っ!」




カフェテリアに馬鹿でかい声が響き渡る。



「ちょっ、ちょっと!」

すると、小柄な女子生徒がコソコソと人目を避けるように、態度も声も図体もでかい男に近づいて行く。


「早く来いッ!」

「もうっ!」



ーーー声が必要以上にデカいんだよアンタはっ!



『なぁに~?牧野、まだ道明寺さんと続いてるの?』

『別れたんじゃなかったっけ?最近一緒にいなかったのに!!』

『でもさ~テレビに二人で映ってたじゃん!?』

『あ~。牧野がフリスビーしてたやつ?』

『ぷっ、フリスビーって!うける~!!』

『ちょっと!聞かれたら、道明寺さんにチクられるって~!!』

『キャハハハハハ!!』








ーーーーぜんぶ聞こえてんだよッ!!!


しかもそれ、道明寺にも言われたな‥‥‥。




「は~~~~っ。」

つくしは思わずため息をつく。

「‥‥‥どうした?」

振り返って、司は浮かない表情のつくしに声をかける。

「ううん、いいのいいの。世の中はそう簡単に変わんないなって思っただけよ。」



「?」



「‥‥‥ふぅん?」


「あ、それよりなんか用事あるんじゃないの?」

「あ、おぉう、ちょっとな。」

そう言うと、とたんにギクシャクし始めた道明寺。

「‥‥‥変なやつっ。」


でもまぁ、いつもの事かとそのときはあまり気にしなかった。





******


「「えっ!?」」


「なに、お前ら復活したの!?」


「なんで!?いつ!?どこで!?」


「お前まさか‥‥‥ついに鉄パン脱いだのか!?」


「司もついに、チェリー卒業かよ!」





バコッ!


ドカッ!


バキッ!


「「変な事言うな!!」」


口より先に、手と足が動いた。



「ま、あれだ。」



「牧野は俺のモンだから、お前ら手ぇだすなよ。」

「「出すかッッ!!」」

「誰があんたのモンよ誰がっ!!」

真っ赤になって否定するつくしだが、司には聞こえない。

「特に類ッ!!」

「お前は牧野に振られたとはいえ、なんか嫌な予感がするんだ!」

「お前は牧野と一緒の地球上に立つな!」

「司‥‥それ、類に宇宙人になれってか?」

「アホすぎる‥‥‥。」

「‥‥‥‥Zzzz。」






「‥‥‥‥‥。」



もう何も言えないつくしだった。









ーーーーー 道明寺とはあの日、いっぱい話した。









『お前だったんだな。』

『‥‥‥え。』

『お前だろ?俺がなくした、記憶は。』

『なん‥‥‥で?』


ーーーー早く、そうだよって言えば良いのに、こんな言葉しか言えない。


『思い‥‥出したの?』

『思い出せねえ。』

『じゃ、何で‥‥‥』

『今まで‥‥さ、頭ん中ずっと空っぽだったんだ。』

ーーーー司が目を附せて話し出す。

『何見ても、何しても、すげえつまんなくて‥‥』

『でも、』

『‥‥‥でも?』



そこで、顔を上げた道明寺のきれいな瞳に見つめられて、あたしは心臓が止まりそうになった。



『お前といると、落ち着くんだ。』

とくん‥‥


『空っぽだった頭ン中、脱力感でいっぱいだった身体が』

とくん‥‥

『お前がいると、ウソみてえに軽くなって、充足感でいっぱいになる。』


とくん‥‥




ーーーーどうしよう。





『思い出してないんだよね‥‥?』


とくん‥‥


ーーーーどうしよう。



『‥‥‥脳は忘れてても。』


とくん‥‥


『俺の細胞がそういってる』


とくん‥‥


『俺が必要としてるのはおまえだ。』






ーーーー嬉しすぎてどうにかなりそうだ。






















道明寺が、あたしを見つけてくれた。




******


「ちょっと!どこ行くの!?」

「るせえ!さっさと来いッ」

連れて来られた先は‥‥‥つい数日前に訪れたスタジオ。

「ねえ、何でここに来たの?撮影はこないだで終わったよね?」

「‥‥‥ちょっとな。」

にやにやしてる道明寺。明らかに何か隠してるだろっ!

「道明寺様!ようこそいらっしゃいました!!」

突然現れたおばさん。

ちょっと奇抜な格好をしてる。

‥‥‥って、あれ??

ーーーー前にもおんなじ事を思ったような??


そんな事を思っていると。



「ほれ。行ってこい。」


「ぎゃっ!!!」



道明寺に襟首捕まれて、どこだかわからない部屋に放り投げられた。
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