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何度でも 前編 〜 30万HIT記念 〜

いつもありがとうございます(o^^o)

アクセス30万HIT記念に、別バージョンの司記憶喪失編を書いてみました。(……原作の何処かから繋がっています^^;)

ちなみに前後編に分かれます。ゴチャゴチャしてますが、楽しんで頂ければ幸いですm(__)m




******


「待て」


もう、後ろは振り向かないつもりだったのに。


「お前何なの?いきなり俺の前に現れたかと思ったら、もう来ねえとか。わけわかんねえ。」

乱暴に掴まれた手が熱くて、冷めきった心にじんわりと染みてくるみたいだった。

この手があの頃と変わらない体温でも、今の2人はこんなに違うのに、錯覚してしまいそうになる。

「……聞いてんのか?」

怪訝そうにあたしを睨みつけてくる道明寺に、悲しみしか生まれない。

「……っ! あんたが来るなって言ったんじゃない。だからあたしはもうここには来ない。それでいいでしょ?」

同じなのに。

あたしが好きだった大きくて暖かい手も、声も。

確かに、同じなのに。

あたしを見つめた瞳で睨みつけて、暖かく包んでくれた手のひらから 今伝わるのは、苛立ちだけ。

こんなにも、違うなんて。

もうこれ以上此処に居たら、大切な思い出までもが侵されてしまう。

「じゃあ最初っから来んな。そもそもお前、ここに何しに来てたわけ?」

絶望しているつくしに更に追い打ちがかかる。

「………に……てた。」

「あ?なんて?」

漏れ出た声を聞き取れなかった司が、少しばかり耳を向けた。

「好きな人に会いに来てたのっ!」

何しに来てたなんて、道明寺に会いに来てたに決まってる。

道明寺に会いたくて。

記憶が無くなってしまっても、頑張っていればそのうち思い出して、またあたしに笑いかけてくれるはずだって、自分に言い聞かせて。

道明寺の笑った顔が見たくて、笑いかけて欲しくて、好きだって言って欲しかった。

言わなきゃ伝わらない心の距離が遠くて、悔しくて、もどかしくて、癇癪を起こした子供みたいに怒鳴ってしまった。

……もうめちゃくちゃだ。

「でも、会えなかった。もう会えない人になっちゃったから。だからもうここには来ない。ただそれだけ。」

そうだ。

あの道明寺に、あたしはもう二度と会えないんだ。

そう思うと、枯れた筈の涙がじんわり溢れてきた。

「…………お前、頭おかしいんじゃねえの?」

今の道明寺にしてみれば、もっともな感想だろう。

意味わかんない事言って泣いてる、頭のおかしい女なんだろう。

でもね、道明寺。

こんな女にしたのはアンタなんだから。

「そうだね。あたしは、好きな男にみっともなくしがみついてた女だよ。」

でも、今の道明寺に言っても仕方がない。

わかって貰おうなんて、思わない。

だって此処にいるのはあたしが好きだった男じゃないんだから。

ーーーー だけど。

だけど、これだけは言っておきたい。

「今から言うのは、あんたに向けてじゃないから。」

「……あ?」

「あたしが好きだった男に向けて言うから、あんたは気にしないで?」

「…………なんなんだよ一体。」


これは、あたしが好きだった道明寺への言葉。


「たくさん、愛してくれてありがとう。」

「あたしもあんただけ、愛してる。」



最後は、笑顔で。



「ーーーー さよなら。」


過去形じゃなくて、今のありのままの気持ちを伝えて、別れを告げた。

だって、まだ好きだったから。

一生、忘れられそうもない強烈な男だったから。

告白してさよならだなんて、我ながら恋愛音痴だなと自嘲しながら、困惑している道明寺に背を向ける。

このお邸も今日で見納め。

たくさんの思い出を胸に、目に焼き付けよう。











「…………待てっ!!」

「いっ!?」

あと一歩で敷地内を出る所で 再び手を掴まれ、何事かと後ろを振り返れば、少し息が荒い道明寺が居た。

走って来たのだろうか?

息を切らしてるのに掴まれた腕が離れなくて、どころか痛いくらいにグッと握り締められる。

「お、俺……お前とっ」

「ちょっ、ま、待って!腕折れるから!逃げないから!痛いっ!」

「……あ、ああ。わり」

「何? 慌ててどうしたのよ。」

解放された手首を摩りながら、動揺している道明寺に目線を上げる。

さっき泣いちゃったから、ちょっと恥ずかしくて顔の熱が上がってしまう。

「…………アレ、どういう事だ?」

「ん?」

「さっきの、俺に言った……」

「……?……!!あ、ああ!あれは、気にしないで!さっきも言ったけど、あんたに向けてじゃないよ?独り言みたいなもんだから本当に!!ごめんね、訳わかんないだろうけど、気にしないで大丈夫だから!!」

一瞬意味がわからなくて、けど、あたしが言った最後の台詞の事を言っているんだと直ぐに思い当たる。

まさかの部分に触れられて、今度こそ顔から火が出そうだった。

「…………類か?」

「へ??」

「お前 類の女の癖に、俺が好きなのか?」

「……はぁ?何をどう聞いたら、そんな解釈になるのよ?」

「だってお前、類の女だろ。」

ーーーー イラッ

「俺の事好きなのか?」

「だからっ!あたしは類の女じゃないし、あたしが好きなのはあんたじゃない!別人よ別人ッ!!」

「じゃ、じゃあ、好きな男が3人も居るってか!?この淫乱女ッ!」

ーーーー ぷちん。

つくしの中で、何かが切れた。

「人の話を聞きなさいよバカッ!」

「花沢 類は友達だし、付き合ってない!あたしはアンタなんか好きじゃない!!むしろ嫌い!西門じゃあるまいし、あたしは3股なんかしないっ!第一あたしは処女よっ!淫乱なのはあんたの頭の中でしょうがっ、この変態!あたしが好きな男は一人だけよ!!」

堪忍袋の緒が引き千切られ、怒りに任せて一気にまくし立てたつくしに流石の司も言葉を失う。

「あんたの要件はこれだけ!?」

ギロッと向けられたあまりの剣幕に、

「あ、あぁ。」

としか言葉が出て来ず、本当に言いたかった事を言えぬまま、憤慨しているつくしの背中を見送ることしか出来なかった。

「………………俺が、変態?」

新たな疑問を残して。
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