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未来の先に見つけたものは 4

柵に凭れかかって待つ事30分。

俺、道明寺 司は ソワソワしながら目的の女が出てくるのを待っている。


ーーーー ガチャッ


「…………げ」

「お、やっと来たか」

「……なんで居るのよ」

「なんでって、お前を待ってたに決まってんだろーが」

前髪をちょんまげにした女が、一人暮らしの部屋の前で、ずっと待ってやってた俺を睨みつけやがった。

「ずっと、待ってたの?」

「おう。っつーか、やっぱ居留守だったのかよてめー」

「知らないわよ。今日は休みなんだからとやかく言われる筋合いない」

「今日12時に迎えに来るって言っただろ」

ああ言えばこう言う。

終わりのない問答を繰り広げるよりも、せっかくのチャンスは生かさねーと。

「お前、パーティの準備は……」

「するわけないでしょっ」

「なんでだよ。しろよ」

「行かないんだからする必要ないし、第一、一介のOLがドレスなんか持ってる訳ないでしょ!?」

「……あぁ、なるほど」

だからあんなに拒んでたのか。

「よし、俺が買ってやる」

「はっ?」

そう言って、牧野の小さな手を捕まえた。

「早く待ち合わせといてよかったぜ。この時間からなら充分間に合う」

「間に合わせなくていいから!」

「まずシャネルな」

「だから話を聞けーー!!」

絡ませた指に浮かれて、店から店へと渡り歩く。

ようやくドレスを選び終えた頃には、余裕だったハズの時間はとうに無くなっていた。


********


「なに、ぶすくれてんだブス。」

「……あんた絶対後でしばくから」

急遽牧野にドレスを当てがって、なんとか間に合ったパーティ。

予想通り女共が群がって来やがったから、牧野を左腕に纏わせて、会場中をこれでもかと練り歩いてやった。

だけどこいつはそれが気に食わなかったらしい。

「ま、いーじゃねえか。ここのメシ、美味いだろ?」

現在は、適当に切り上げた後に入ったレストランに居て、二人きりのディナー。

事前に予約してたから、広い店内で居るのは本当に俺たち二人だけ。

あとは、たまに料理を運びに来るウェイターぐらいだ。

「なぁ、美味いか?」

「……うまいけど」

こう聞くとムスッとしてはいるが、一口運ぶ度に僅かに表情が弛んで、俺と喋るときはキッと引き締める。

ころころ変わる表情は、面白いったらねえ。

「……ジロジロ見ないでくれない?」

俺の視線に気づいて、怒ったような、照れたような赤くなった表情で睨まれた。


ーーーー ああ、すげー良い。

その瞳でもっと見つめられたい。

その髪に、頬に、眼鏡を取った素顔に触れてみたい。

そう、もっと もっとーーーー




デザートに差し掛かった所で、言いたくてたまらなかった言葉を告げることにした。

「なぁ、牧野」

「なに?」

「俺じゃだめか?」

「…………なんのことでしょうか」

「わかってるだろ」

「……」

「まだ、返事はしなくてもいい。だけど、お前には俺が居るって事を忘れるな」

「…………えらそーに」

「おう、俺はエラいからな」

「ばかじゃないの?」

「……ッ!?」


不満を漏らすその唇には、僅かにデザートの汁が垂れていて、背中に甘い刺激が走る。

その衝動のまま、まだ不満を漏らす牧野へと、腰を浮かして手を伸ばす。


「……え?」


真正面にいる女へと、顔を少し傾けて……










ほんの一瞬、触れた。








「……いただき」


牧野の唇は、蜂蜜の味がした。
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