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溺愛クライシス 番外編


季節感丸無視な小話。( ̄ー ̄)


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A1 ふわふわで、とろけちゃいそうなくらい甘い、好きな男の子に愛を伝える日を何というでしょう?



「なんじゃこりゃ」

空き時間の暇つぶしにしていた、簡単すぎるクロスワードの問題に思わず突っ込んでしまった。

「これ、わからない人なんているのかな……ば、れ、」

シャーペンを持ち直して、記入していた その時。



ざわっ!!


一気に色めき立った空間に胸騒ぎがしてテーブルを見つめていた視線を上げると、でかい図体して、眉間に皺をよせて、大学のカフェテリアにいるあたしのとこまで大股で向かってくる男がいた。

「おい、俺のチョコは?」

「…………アンタ甘いもの嫌いでしょ」

開口一番に、この男には全く似合わない台詞。

そう、世間でいう今日は、嬉し恥ずかしバレンタインデーなのだ。







「ごめんって」

「…………」

「まさか、アンタがチョコ楽しみにしてるなんて知らなかったから」

そしてあたしは、すっかり拗ねてしまった彼氏様のご機嫌とりをする羽目に。

ーーーー 女子力の低さが仇になったか?

「でも、あいつらには昨日やったんだろ」

あのままカフェテリアで話すのも憚られたので、2人で中庭の人目につきにくい場所へ移動すると、への口に曲げた道明寺がボソッとそんなことを言う。

「へ? 誰にもあげてないよ」

「あきらと総二郎と類が、お前からなんか貰ったって言ってたぞ」

「…………?…あ、ああ!」

そこまでヒントを貰ってようやく思い出した。

アレは、優紀にあげよう思ってたチョコレートのカップケーキだ。

バレンタイン前だったし、バイトのシフトが重なった優紀に持っていこうとしてたのに、

『おっ、牧野なんかいいもん持ってんじゃん』

『まじ? いただき〜』

『……ん。あまい』

何処から見つけたのか、あの3人が勝手に食べてしまったのだ。

「やっぱりやったのかよ」

「……いやあれは」

あげたというか、強奪されたというか。

お陰でまた作り直す羽目になったけど、甘いもの苦手な筈の3人が珍しく喜んでいたから、滅多に出来ないお返しのつもりでそのまま恵んであげた。

あの3人なら誰からでも貰るだろうに……


グシャッ!


「あんにゃろう……」

「ひえっ、ど、道明寺さんっ??」

ありのままを話すと、道明寺は手に持っていた缶コーヒーを握り潰し、右手がコーヒー塗れになっていた。

…………それ、スチール缶じゃなかったでしょうか?

「ご、ごめんねっ?」

「…………」

「あ〜、ほんとごめん!」

ホント言うと、優紀、女将さん、道明寺の分で念の為 3つちゃんと用意してたんだけど、それがF3にひとつずつで丸々なくなってしまった。

「明日! 明日はちゃんとチョコレート用意しとくから、ね?」

道明寺がこんなに欲しがるなんて思ってなかったから、珍しく拗ねてしまった道明寺をどうすればいいのかとほとほと困ってしまう。

「…………クッキー」

「ん?」

「やっぱチョコじゃなくて、クッキーがいい」

「…………クッキーでいいの?」

「だって、お前がはじめて俺の為に作ってくれたヤツだろ」

「!」

覚えていたんだ。

「だから、もう他のヤツにはやんなよ」

「う、うん」

だから、不機嫌だったのかな?

「あと、キスしてくれたら許す」

「…………ここで?」

「当たり前だ。早くしろ」

「ゔっ」

ギロリと睨まれて、従うしかなくなってしまった。

辺りをキョロキョロと伺ってから、顔が熱くなっているのを自覚して、ベンチに座る道明寺の足の間に立ち、肩に両手を添える。

…………ゴクリ。

「じゃ、い、行くね」

「おう」

なんの確認か。

道明寺は既に目を瞑っていて、キスしやすい様に顔を上げてくれている、

端正な顔に近づく度、ドクドクと心臓がうるさくて、周囲の音も聞こえない。


…………本当に綺麗な顔。


長いまつ毛も、高い鼻も、唇だって作り物みたい。

輪郭さえ完璧で、思わずじっと見つめしまう。

見惚れていると 焦れたのか、腰のあたりに道明寺の両手がまわされ、グッと引き寄せられた。

「ほら、はやく」

「…………ッ」

目を瞑ったまま、更に顔が近くに迫る。

…………あーっもう! どうにでもなれ!







ぷちゅ








「…………」


一瞬触れて、すぐ離れた。

どうしよう、恥ずかし過ぎて顔があつい。

顔が上げられない。


「真っ赤になってやんの」

「…………うっ、うるさい」

情け無い事に、あたしは蚊の鳴くような声しか出なくて、機嫌が直ったらしい道明寺はニヤニヤと下から顔を覗き込んでくる。

「もう! どっか行ってよ」

「照れんなって」

さっきまで肩に添えていた手をググッと押しやろうとするけど、余計に腰に巻きついた腕が離してくれなくなった。

「なぁ、今日はどうする?」

「へ」

「へ、じゃねえ。ウチかメープルかどっちに泊まるか聞いてんだよ」

「……なっ」

「おい、そんな顔すんな。今すぐここで食っちまうぞ」

「いっ、嫌! 無理無理無理ッ!」

「何が無理だ。ヤることやってんのに、今更カマトトぶんなっつってるだろーが」

「ぶってない!」

そもそも、何で泊まることが既に決定事項なのよ!

「じゃあどっちいく?」

「…………」

「ほら、いちいちそんな顔して。誘ってんだろ?」

「きき、きょ、今日は、道明寺様ご所望のクッキーを作りに帰らねばいけませんので?」

「お前ん家よりウチの方が設備いいだろ、ってことでウチにすっか」

目が泳ぎまくるあたしをサラッと無視して、もう話は終わったとばかりにベンチから立ち上がると、あたしの腰を持ったまま校門へと歩き出した。

「……ってバカ! 離しなさいよ!」

「クッキーは明日作れ。んで、今日はお前がしっかり詫びいれろよ?」

「詫びってなにによ!? 甘いもの嫌いなクセに〜!!」

「それとこれは別に決まってんだろ」

「ちょっ、い〜や〜だーッ」





ふわふわで、

とろけちゃいそうなくらいあまくて、

だけど、ほんのちょっぴりほろ苦い。


そんな、極上なバレンタインデー。




☆FIN☆

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