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記憶喪失物語。#16

つくしが、一人悶々と考え事をしているうちに海はやってきた。

「つくしちゃん、おまたせー」



ーーーーバクン。




上から声が降って来て、つくしの体が強張る。

「う、ううん。」

声をかけられた途端に心拍数が上がるが、座っていたつくしは意を決して顔をあげ、立ち上がった。

(ヤバい‥‥)

「ごめんね。呼び出して。」

「‥‥いいよ。」

「あたしも‥‥話があったし。」

(心臓が、バクバクして声が震える。)

「?‥‥そう?」

「うん。」

「海ちゃんの話って‥‥なに?」

「ーーうん。あのね。」

「この間の今日で‥‥良いづらいんだけど、」

「‥‥。」

「えっとね‥‥何から言えばいいのかな。」

ーーーーいつになく、慎重に話す海。

つくしは何を言われるのかと固唾を呑んで待った。



ーーーーすると、つくしはあるものを発見する。


「!?」



思わず目を疑った。



ーーーーあいつら一体何やってんのっ!!



「あのね‥‥。」

ーーーーしかし、そんな事を知らない海は尚も続けようとする。

「ごごご、ごめん!海ちゃん!」

「えっ?」

「すぐ戻って来るから、もうちょっと待ってて!?」

「どうしたの、つくしちゃん?」

「すぐ戻るからっ!」









ーーーーそうしてつくしは海の元を走り去っていった。








「何なの‥‥?」



呆然とする海。









ーーーーそこに、人影が現れて海は顔を見た。


「‥‥あ。」


「お久しぶりです。中島さん。」



******






「ちょっと、あんたら!」

「てゆーか、道明寺!」

「止めなさいっ!!!!」





つくしが海の肩越しに見たもの。

それは、暴れまくる道明寺と、止めに出て負傷を負ったのであろう美作・西門ペアだった。



「あ、牧野っ!」

「良いところにっ!」

「「この猛獣、何とかしてくれ~~!!!!」」




ーーーーなんとかしろって、一体どうしろって言うのよ!?

さっきだって叫んで止めたけど、破壊音に紛れてこのバカには聞こえちゃいない。




「牧野っ!とりあえずもっと声を出して司に気づかせろ!!」

「んでもって、触れ!」

「出来ればキスの1つでもして大人しくさせるんだ!」



「出来るかバカッッッ!!!!」



これ幸いと、好き勝手言う二人につくしは一喝した。



******



ーーーー結局、暴れまくる猛獣を止めたのはつくしだった。







『道明寺ッ!』


いくら声をかけても反応がない道明寺に、あたしは、こいつの腰に両腕を巻きつけて体を張って止めた。


あたしにタックルされたこいつは、


『ぐっ!?』


とか何とか言って、そのうち大人しくなった。


『『さすが猛獣使い‥‥。』』


とか何とかふざけた事を言う二人も、道明寺とまとめて殴ってやった。


ーーーー女の子に体張らせんじゃないよ全くっ!!









「で。何してんのよあんたたちは?」



ーーーギクッ!!



つくしのおっかない顔と共に発せられた至極最もな疑問。

3人一斉にびくりとする。



「そっ、それはだな。」

「おっ、おう!」



ーーーーやべえ!桜子と手を組んでた事がバレたら色んな奴に殺される!!

二人が身の危険を感じていると、

「‥‥俺はお前を探してたんだよ。」

さっきまで暴れていたとは思えない猛獣が、ちょっとしゅんとなって口を開く。

「はっ?」

思いもよらない返答につくしは戸惑った。





ーーーーなんで、あたしを?

いや、探すのはまだ理解できるにしても、何であんなことになるのかがわからない。

もしかして、暴れまくったのはあたしのせいとでも言いたいのかっ!?


‥‥‥いや、でも。


「あんたは、人探しにお巡りさん使う奴だもんね‥‥。」

ガクッと項垂れるつくし。

「あ?何言ってんだ?お前。」

「いいの、いいの。こっちの話。」

もうどうでもいいや。怒りも次第に治まってきた。

「誰が、そんなちっちぇポリ署使うなんてダセェことするか。」

「使うなら、警視総監だ。」

「‥‥‥‥‥‥‥あっそ。」


よくわからないこだわりを持つ道明寺。

ーーーー交番でも警視総監でも犬のお巡りさんでも好きに使って下さい。


「‥‥‥‥‥‥‥‥ぶふっ!」

「‥‥お前いきなり、何笑ってんだよ。」

突然笑い出したつくしに驚いて、司はまじまじと見つめた。

「い、いや、ちょっとね。」

ーーーーいけない、犬のお巡りさんに囲まれている道明寺を想像してしまった。



肩を震わせて笑いが止まらないつくし。

「‥‥‥普通に笑えよ。キモいやつ‥‥。」

そう言いながらも、釣られて司も笑いだした。






道端で突如大声で笑い始めた二人に、道行く人々は足を止める。

司の目立つ容姿もさることながら、司の隣で屈託なく笑うつくしに目を奪われたからだ。




ーーーーこの時、色んな人に写真を撮られていたのを二人はまだ気付かない。









気がつくと、他の二人はいつの間にかいなくなっていた。
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