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記憶喪失物語。#19


「まぁ、私も昔貴方に負けないくらい酷い事したんですけどね。」

「‥‥え!?」

司の元へ帰って行くつくしをみんなで見送った。

すると、隣から声が聞こえる。


「だから、私も貴方のこと言えないんです。本当は。」

「桜子さん‥‥‥。」

「でもね。」

「先輩は、バカなんじゃないのっていうくらいお人好しだから、結局は全部許しちゃう。」

「‥‥‥‥。」

「鈍感で、頑固で、ちょっと抜けてて。」

「正義感が強くて、明るくて、優しくて。」

「先輩がいなかったら、今の私は居なかった。」

「だから、」

「貴方もきっと、変われる。」

「ーーーーううん、変わらなきゃいけないんです。」

「それが貴方の罪滅ぼしだわ。」

「‥‥‥‥‥桜子さん。」

「それでは。」

じゃあね、といって海の元を去る桜子。

「実はあたしも司の元婚約者だったりするのよ。」

「‥‥‥滋さん?」

後ろからまた声がかけられた。

「お察しの通り、あたしも桜子も司が好きだったんだけどね。」

「そんな‥‥‥」

「でも気付いちゃったんだ。つくしとあたし達が好きになった司は違うって‥‥。」

「?」

「見たでしょ?司の変貌っぷり。」

「‥‥‥。」

「つくしはきっと、あたし達が知らない司をいっぱい知ってて、良いところも悪いところも全て受け入れてる。」

「‥‥‥そんな広い愛情で包まれちゃったら、司じゃなくても惚れちゃうよ。」

ーーーー滋は下を向いて、少し寂しそうに笑った。

だが直ぐに顔をあげて、

「でもね!決めてるの!!」

「生まれ変わったら男になって、つくしを司から奪い取ってやるの☆」

明るく、ちょっとふざけて、ウインクして滋が笑った。

「桜子待ってよ~~!!」

それだけ言って、もう遠くまでいった桜子の後を追う。

「まっ、そゆこと。」

「だな。」

西門、美作が現れて。

「なんなら今度、お茶でもつきあうよ。」

「大丈夫だよ。牧野はバカみたいに心が広いから。」

「「‥‥‥またな。」」

同士に背中を押され、二人も去っていく。

それを見送る海。







「‥‥‥みんな!ありがとう!!」

涙でいっぱいになった海の瞳と笑顔は、きらきらと輝いていた。









******





「なっ、なんでそんなに見るの!」


じいぃいいい~~~~~っ。


「‥‥‥‥‥。」

敢えて何も話さない司。

「いいい、言いたい事があるならいいなさいよ!」

沈黙に耐えきれないつくしが言うと、司がやっと口を開く。

「‥‥‥お前って。」

「な、何っ!」

「すげー鈍感だな。」



ーーーーズルッ



「思わずコケちゃったじゃないのよ!」

「でも、そうだろ?」

「そんなことな‥‥っ!」



‥‥‥あれ?



『ホント、鈍感だな。』


『鈍感すぎる‥‥。』


『本当に道明寺さんの気持ちに気づいてないんですか!?先輩!!』


『鈍感、どんかーん!』




ーーーー最後の滋さんのセリフは置いておいて、最近みんなに言われた台詞を思い出した。





「ない‥‥‥はず?」


段々自信が無くなってきた。表情にもあらわれる。



「やっぱ、そうか‥‥‥」

フーッと司がため息をつく。

「いいか。」

真正面にいる道明寺。真剣な瞳にあたしは目が逸らせない。

「‥‥俺が、好きなのはお前だ。」

「‥‥‥え?」

「お前、好きな奴がどうのこうの言ってたよな。」

「キスは良くない、とか彼女に悪い、とか訳わかんねー事言ってたけど。」

「それは‥‥‥。」

道明寺は海ちゃんと付き合ってると思ってたからーーーー

「ま、当然ちゃ当然だよな。」

「!?」

「俺はお前に、まだ何も伝えちゃいなかったしな。」

「‥‥‥悪かったな。」

そこまで一気に言った道明寺は、一旦あたしから視線を外して、深呼吸した。






ーーーー再び目を合わせた道明寺の瞳。



ーーーーこの瞳を、あたしは知っている。





      「好きだ。」






「気がおかしくなるほど惚れてる。」



「俺が欲しいのはお前だけだ。」









過去にも言われた事のある台詞。



だけど、あの頃と違って優しい瞳で。



ーーーーあんた、本当に良い男になったね‥‥。



「‥‥‥お前は?」


「!」



こうやって、返事を急かすようなところは全然変わってないけど。


「‥‥‥分かってるくせに。」


あたしは道明寺をちょっと睨みながら言う。


「お前はとっ捕まえとかねーと、直ぐ逃げだす気がするんだ。」


記憶が戻ってもないのに、おんなじ様な事を言う道明寺。


あまりにも変わってないのが嬉しくて、涙が出た。









「‥‥‥‥‥‥‥‥‥好きだよ。」











ーーーーどうしよう。










嬉し過ぎて気が狂いそうだ。










道明寺が、本当に、あたしを見つけてくれた。










道明寺が、あたしの元に帰ってきた。

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