fc2ブログ
QLOOKアクセス解析

記憶喪失物語。#23

「牧野先輩、今頃雲の上の人なんでしょうか?」


ーーーー桜子が言う「雲の上」とはそのままの意味で。

"手が届かない"なんていう意味はもちろん含まれていない。



「たぶんな。」

「記者会見も明後日だし、もう乗ってねーとヤバいだろ?」

「‥‥‥俺、牧野に電話したけど繋がんなかったからそうだと思う。」


そう言った類をびっくりしたように見つめる2人の幼馴染み。


「「‥‥‥‥‥。」」

「‥‥‥‥‥‥何。」

男2人に見つめられて居心地の悪い類。

「いや‥‥。類おまえ、自分から電話する事あんのな。」

「俺も思った!」

「‥‥‥‥あるよ、そのくらい。」

心外だったのか、ムスッとした類。

「いやいや、おにーさんは別に責めてるわけじゃない!」

「そうだ!むしろ喜ばしいことだ!」

「あの類が、自分から積極的に誰かに連絡をとるなんてな!」

「俺らにはほぼ皆無だが、他には一体誰とどんな会話をしてんだ!?」

「‥‥女か?女なのか!?」

見るからにわくわくしだしたお祭りコンビ。

興奮した2人は、テーブルに肘をついて前のめりになった。





「‥‥‥てゆーか、それ、本当に天下のF4の会話ですか?」

「兄弟飛び越えて、父と子の会話なんですけど。」

桜子の冷ややかな視線が2人に突き刺さるが、本人達はそんなこと気にしちゃいない。












「別に‥‥‥。」


「牧野が、あたふたしてそうな時に『落ち着け』って電話入れるくらいだよ。」


「他には!?」

「‥‥‥無いよ。」

「嘘つけ!絶対なんかあんだろ!」

「だから、無いって。」












「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥そうか。」


期待してた答えが返って来なくてガックリした2人は、浮いていた腰を元通り戻し、類に気付かれないように小さくためいき息をついた。






「~~~~そんなことよりっ!」


「先輩は知ってるんですか!?こんなのが出ちゃった事!!」

痺れを切らしたように食って掛かる桜子。




「‥‥‥知らねーと思う。」

「せめて司に教えてやろうと思ってたのに、あのバカ、牧野連れて逃げてっちまったからな。」


「‥‥‥え?俺、司に渡したよ。週刊誌。」


キョトンとしている類。


「はあ!?この週刊誌か!?」

「そりゃそうでしょ。知らない人のゴシップ記事あげないし。」

「ゴシップ‥‥‥。まあ、そう言えなくもないか。」

「ゴシップ記事にしちゃ、周りの目気にし無さすぎだけどな。」




ーーーーそこに写っていたのは。





ーーーー司とつくしの白昼堂々のキス現場。





「これ、あれだよな。海ちゃんが一緒に居たときの。」

「だな。こっちの空気も読まずにあいつらがいちゃこいてたヤツな。」

「‥‥あれ?でもこれは違くね?」

「‥‥ホントだ。牧野は相変わらず同じ制服だからわかんねーけど、よく見ると司の着てる服違うな。」

「あいつらケンカばっかしてる割にはいちゃこいてんだな‥‥‥」


呆れ顔の総二朗。


「嬉しいような、腹立たしいような‥‥‥。」


複雑な心境のあきら。


「でも、牧野は一応目元隠されてるね。」

「ぷぷっ、まるで犯罪者だ♪」


楽しそうに笑ってる類。


「でも、先輩いい顔してますよね。」


桜子が言ってから皆が写真に目を向けた。








ーーーー紙面で笑ってる牧野がいた。(目元隠されてるけど。)

その笑顔は自分達にとって見慣れたもので、

司にはきっとかけがえのないものなんだろう。



ーーーー記事には、こんな事がかかれていた。



"道明寺財閥次期後継者とされる道明寺司さん(18)の目撃情報が多発!?"



〇月某日、都内であの超有名高校生がついにベールを脱いだ。その方とは、あのF4のリーダー道明寺司さん(18)だ。F4と言えば、メンバー全員が、高校生にして将来日本を背負って立つ役割を担っている。

そんなメンバーの中でも一際異彩のオーラを放つのが司さんだ。だが、リーダーの彼はとにかく表に出ない。将来嫌でも目立つ運命にあるからか、自身のパーティーなど、必要最低限の公の場にしか表れないのだ。

そんな彼がどうして我々の目の前に表れたのか?答は簡単だ。

彼のお相手は以前から噂されているTさん。(右図の左側。)Tさんは司さんの通う英徳学園の後輩で、一般人ながら司さんとの愛を順調に育んで来たようだ。

そこで、今回我々はそのTさんと今後どのようなお付き合いをしていくのか、司さんのお父様である道明寺社長に突撃してお話をお伺いしたところ、なんと!!道明寺社長は我々に
ある重大な約束をしてくれた。

「司が?そうですか‥‥‥。そうですね、彼も次期後継者とはいえ、まだ18歳です。至らないとこもあるでしょう。相手のT さんとの関係ですか?‥‥今は、この場ですぐ私がお答えすることは出来ません。ですが早めに‥‥‥そうですね。ーーーー明後日、NYにて記者会見を執り行いますので是非いらして下さい。」

そう言って颯爽と去って行った道明寺社長。今も昔もトップを走り続ける経営者ならではの素早い対応に我々も驚かされた。

こういった判断力と決断力。我々も見習わなければならないところであろう。

それはそうと、明後日開かれる司さんの記者会見。おめでたい知らせが我々は聞けるのか、是非とも楽しみにしたいところだ。







ーーーーそんな感じで締めくくられていた。

もみ消そうとすれば出来たはずの記事。

敢えてそれをしなかった道明寺社長。

真意は一体どこに含まれているのか、俺たちはそればかりが気がかりだったーーーー。







******



ーーーーガンッ!!!!




「いーかげん起きろ、てめ!」

「いっっっ‥‥‥‥たぁ~~~~!!」


目覚めに一発頭突きを食らわされたあたしは頭を押さえてうずくまった。


「とっとと降りろ!もう着いてんだぞ!」

「へっ?」

「着いてるって何処にーーーー?」

「まーだ寝ぼけてんのか!?NY に決まってんだろ!」

「‥‥‥‥‥あぁ、そういやそんなこと言ってたような‥‥?」




あたしたちがついた場所はやっぱりNY 。

寝て起きたら夢だったらいいなって思ってたんだけど、どうもそうはいかないようだ。


「ところで、なんであたしまで連れて来られたわけ?」

「だから俺も知らねーんだって。」

「まあ、詳しい事はメープルで聞こうぜ。」

「‥‥聞くって、誰に?」

「姉貴とお袋。」

「あと‥‥‥親父も。」

「え"っ!?!?」

「お姉さん、は良いとして、魔女とラオウも居るの!?なんで!!」

「‥‥さあ?」

「てか、なんだ?魔女とラオウって。」

「ああああ、い、いいのよ。なんでもない。なんでもない。」

ーーーーいかん。緊張してきた。

「‥‥‥?そうか?」

「てか、大丈夫か?お前。震えてんぞ。」

「だ、大丈夫大丈夫!」

「これは、む、武者ぶるいってやつよ!うん!!」

「クッ‥‥‥‥‥本当に変な女だな。」

必死にガッツポーズをして誤魔化すつくしに司はくつくつと笑うが、今のつくしには突っ込む余裕すらない。











ーーーーあああ、なんでいきなりこんな展開!?




神様‥‥‥あたしは無事に日本に帰れるのでしょうか?









空に向かってただ祈るしかないつくしだった。
スポンサーサイト