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記憶喪失物語。#24

「ギャーーーー!!!!」

「うわっ!ウルセーよお前。」

絶叫したつくしの声に、司は思わず耳を塞いだ。


「なっ、何!?コレは!!」

「何でこんな雑誌が!?」

「しかもNYにっ!?」


つくしが指を差した先にはパンやドリンクなどの軽食や、雑誌が置かれている日本にもありそうな小さな売店。



ーーーーの一角にあった日本の雑誌のコーナー。





「‥‥‥‥あ?なんだお前、こんな雑誌欲しいのか。」

「しょーがねーなぁ。俺が買ってやるよ。」

フッ、と笑みをこぼして雑誌を手に取った司。

「いらないわよバカッ!」

「それに、いくら貧乏でも雑誌くらい買えるの!」

ガッ、と司の手から雑誌を奪い取ったつくし。

「あっ、てめ!」

「男に恥かかす気かよ!?たまには大人しく雑誌の一つくらい買わせろ!」

さらに奪い返した司。

「なんであたしが自分で買いたいもの買ってあんたの恥になんのよ!意味わかんない!」

ここまで来ると、もう二人とも後に引けなくなってしまった。

「俺が!」

「あたしが!」

と言い争って雑誌を奪い合った後。










"ビリビリビリーッ!!!!"


「あっ!」

「げ。」





大きな音を立てて引き裂かれた可哀想な雑誌を、司が支払ってつくしが引き取った。





「お前、おもっしれえなぁ。財布持ってねえのに自分が払うっつったんか。」

「うるさいっ!あんたがいきなり引っ張って来ちゃったから、学校に鞄ごと置いて来ちゃったのよ!!」

「はいはい。」

「そんな事より、見てよコレ‥‥‥」

「ん?」

その雑誌の表紙に書かれていたのは。








"道明寺グループ次期総師の奥様はシンデレラガールTさん!?"











「絶対、コレのせいよね?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥だろうな。」



ようやく、事態を把握した2人だった。



******




いきなりメープルに向かうのが怖くて、寄り道してもらったのはいいんだけど‥‥‥。







『ね、ねえ!ちょっと寄り道しない?』

『‥‥‥何言ってんだおまえ。』

『なんでこんなことになったんか知りてーんじゃねーの?』

眉間に皺を寄せて、疑問を隠そうとしない司。

『だっ、だって!』

『あたしNYほとんど初めてなんだもん!』


ーーーーピクッ。



『‥‥‥‥‥‥初めて?』


司の耳がぴくりと動いた。


『うん‥‥‥。来たのは2回目だけど、その時は観光って感じじゃ無かったし‥‥。』

(あのときはそれどころじゃなかったもんな‥‥。)

切ない思い出が甦ってきて、胸の辺りがちょっぴりキュウッとなった。

目線も気持ち下がってしまう。







『‥‥‥‥‥‥しゃーねーなぁ。』

しゅんとしたつくしを見て、初めておねだりされたと勘違いした男は舞い上がった。


『!』

『本当!?』

ぱあああっと瞬時に表情をかえたつくし。

ますます司は舞い上がる。

『会見は明日だし、急いで帰ってもどーせ誰も帰って来やしねーしな‥‥‥。』

照れくさいのか、何故かムスッとして顔が赤い司。

『ありがとう!』

つくしはとりあえず、いきなりの対面は免れた!!

と一安心して満面の笑みを司に向ける。

『ーーー!!』

『‥‥‥‥いつも、そうやって素直なら可愛いのによ。』

ボソッとつぶやくが、笑顔のつくしにそれ以上なにも言えなくなってしまった。

『え?なに、なんか言った?』

『なんでもねーよ。それより、』

ぎゅっと右手を掴まれる。

『‥‥‥行くぞ。』

『い、行くって何処に!?』

掴まれた右手をひっぱられて、歩きだす。

『観光。したいんだろ?』

『‥‥‥‥‥‥。』


(ああ、そういや適当にそんなこと言ったわね。)


『ありがたく思えよ?この俺に観光付き合わせるのはお前くらいだ。』


いつから居たのか、黒塗りの車に突っ込まれてしまった。





それからというもの‥‥‥‥

道明寺が連れて行ってくれた所とは、マンハッタンだった。

ハーレム.アッパーイースト.アッパーウエストと車で横断した後、

『ほら、降りるぞ。』

先に降りていた道明寺に差しだされた手を取った。

『わ。ここどこ?』

『ミッドタウン。』

『ミッドタウン‥‥‥。』

『お前みたいなパンピーは、こーゆーとこが一番いんだろ。』

『いちいち失礼な奴ね!』

『でも、好きだろ?こんなNYらしい街並み。』


『‥‥‥‥‥‥‥‥‥うん。』


ぐるっと見渡すと、まず目に入ったのは、嫌でも目に入りそうな大きなタイムズスクエア。

テレビでも見たことのある光景が目の前に広がっていて不思議な感じがした。

『‥‥‥‥‥‥‥‥とりあえず、その制服着替えろ。』

『野暮ったくて仕方ねえ。』

『は!?着替えるっていっても、着替えなんか持ってきてないし!』

『‥‥‥‥‥‥‥‥ここ入れ。』

『!?』

『ちょっ、ちょっとおおおお!!』





適当に目の前にあった店に押し込まれた。

『なんか適当に見繕って。』

そうのたまった道明寺にかしこまった店員達は、次々とあたしを着せ替え人形にしていって、毎回毎回道明寺のチェックを受ける。




ーーーーシャッ

『イマイチ。』


ーーーーシャッ

『ダメ。』


ーーーーシャッ

『次。』


ーーーーシャッ

『胸が寂しい。』

『!』

『ちょっと!!!!』


ーーーーシャッ



『‥‥‥お。』

『いーじゃん、それ。』




やっと道明寺のお許しが出た店員さんとあたしはホッと一安心した。


『あと、その靴とアッチにあったバッグ持って来て。そのまま着てくわ。』

『畏まりました。』

『あー後、試着した服全部な。』

『!?いらないよ、あたし!』

『るせえ、俺の買いもんにお前が口出すな。』

『俺の買いもんって‥‥‥。』

『だから、お前にゃあカンケーねー。』

『‥‥‥‥‥誰にあげるのよ?』

『もちろんお前。』

『関係あんじゃん!!』

『ねえよ。』

『俺は買いたいもの買っただけ。受けとるか受け取らないかはお前の自由だ。』



ーーーーズルい。

そんなの受け取らないわけにいかないじゃない‥‥。

つくしは仕方なしに受け取ると、司の満足そうな顔。







ーーーー大人しく、メープル行けば良かったかしら‥‥‥。

つくしはちょっと後悔した。






「あれ?この服‥‥。」

買いものに疲れた二人は喫茶店に移った。

「‥‥‥ダメって言ってたくせに。」

つくしの手にはダメ出しされた洋服たち。

「‥‥その服は、肌を露出しすぎだからな。」

「他の男に見られたらどーすんだ。」

「‥‥‥‥‥‥なにそれ?誰も見ないよそんなの。」

鈍感なつくしに司はため息が出る。

「ま、いーや。それよりお前どこいきたいんだ?」

「いや、別にどこ行きたいかとゆーよりプラプラ歩いて街中見たかっただけだしなぁ。」

ーーーーそれももう、充分見せてもらったし。



「‥‥‥‥欲のねえヤツ。」

「んじゃ、どーする?帰るか?」

「うん。そーしようか‥‥‥。あっ!!」

「あったあった!行きたいとこ!!」

「どこ?」

司はにっこりと微笑んで聞いた。

「〇〇に行きたい!!」








「‥‥‥‥ハア?」
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