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ライオン #1

牧野つくし22歳。

英徳大学卒業後、現在日本一と言っても過言ではない企業に勤めている。

いくら名門英徳大学出身だからと言っても、所詮庶民出身のあたしが何故こんな一流企業に就職出来たかと言うと‥‥‥

まぁ、はっきり言ってしまうと"コネ"って言うものになるんだろう。

よく知らないけどね。

何でよく知らないかって言うと、一応他の人と一緒に入社試験の書類選考やら筆記テストやら面接やら、一流企業らしくご丁寧に8次選考まであって全部受けたけど、今年受かったのがたった10名。

バカでかい会社なのになんで10名??

去年は50数名とか言ってたような気がするのに‥‥‥

もしや業績不振!?とか思って株価やらなんやら調べてみたけど、業績不振どころか、例年より遥かに絶好調だった。

と、まぁ倒産さえしなければ無問題な一平社員のあたしに関係ないことはどうでも良いとして。

今年入社の新入社員はあたしを除いて9名全員男だった。

つまり、女ひとりだけ、あたしは受かってしまった。

そして9名全員が、英徳と並ぶ名門大学出身の選りすぐりのエリートばかり。

そしてみんななかなかの家柄だったりするのだ。

とてもじゃないがそんな中に女ひとり放り込まれて両手放しで喜べるほど馬鹿ではない。

絶対、何か裏がある。

普通の感覚を備えていると自負しているあたしは、最終面接採用の通知を受け取った後、早速、問いただした。

採用通知に書いてある連絡先ではなく‥‥‥







愛しの彼氏様に。


『ちょっとあんたっ!』

『おぅ、どーした?』

『あたし、面接受かったんだけど!』

『マジかお前!!やっりぃ―――!!』

パッと道明寺の声が明るくなったのがわかった。

『さっすが、俺の女だな。』

『あんた何かしてないでしょうね!?』

嬉しそうに喋り続ける道明寺を遮って、あたしはイライラした気持ちをそのままにぶつけた。

『はっ!?』

『だから!あんたが手を廻したんじゃないかってきいてるの!!』





『‥‥‥‥どーいう意味だよ?』

道明寺の声が強張るのがわかって怯んでしまいそうになる。

『だっ、だから!!あたしが道明寺に受かる訳ないじゃんっ!だから‥‥‥あんたか、誰かの陰謀‥‥‥じゃないかと‥‥‥思ったん‥‥‥だけ、ど‥‥‥。』

怯むな!と心の中で自分に喝を入れるも、最初の勢いがだんだん気持ちと一緒に萎んでいく。

『陰謀って、お前なぁ‥‥‥。』

呆れたような言葉が携帯越しに届いた。

その後、道明寺のため息まで聞こえてきて。

携帯を握りしめたまま待つだけのあたしは、不安に駆られた。



『‥‥‥‥あのよ。』

『‥‥‥うん?』

『お前はうちに来んのいやか?』

『いやじゃないよ!!』



不安げな口調に慌てて、力いっぱい否定した。

『じゃあいいじゃん。』

『よくないっ!』

『あ?どっちだよ。』

『確かにあたし、道明寺に入りたくて面接受けたけど、コネで入りたいわけじゃない!!』

『………こねこ??』

『子猫じゃなくてコ・ネッ!コネクションの事よっ! 』

『‥‥‥あぁ、それなら分かる。』

なんでそっちはわかるんだっ! !本当、バランスの悪いオトコだこと……。

『‥‥‥言っとくけど、俺は知らねぇよ。』

『‥‥‥‥本当?』

『てめぇ、自分の彼氏様疑ってんじゃねーよ!!』

『‥‥‥‥‥‥‥ごめんなさい。』

本当に、道明寺は何も知らなさそうだった。

『‥‥‥っ!』

『ま、まぁ、いいけどよ。』

珍しく素直に、しょぼんとして謝るつくしにびっくりして何だか可愛いらしくて何も言えなくなってしまった司であった。

(ちくしょう‥‥‥近くに居たら思いっ切り抱き締められんのに!!!)

そんな感じで忙しい司がタイムオーバーになり、通話は終了した。








(道明寺が関係ないならじゃあ何で‥‥‥?)

(早く、牧野に会いてぇ‥‥‥‥。)





それぞれ思い思いの感情を抱き、それから1週間が流れたーーー。






*****


~1週後~



(ついに、この日がやって来てしまいました‥‥‥‥。)

東京都では多分一番でかいビル。

そんなビルを地上から見上げて、次に自分の足元を見て大きなため息をつく。


「はああぁ~~~っ」



言わずと知れた道明寺本社ビル前で。





今日は内定者を集めての説明会だ。

朝から本社に集まって、人事部やら何やらお偉方からの社内方針や社内規定などのありがた~いお話、今後の配属先希望を問われる面談がある。

因みに、その後は幹部と新入社員を交えての懇親会を兼ねたメープルでの食事会だ。

(今更、考えてもしょうがないっか!)

憂鬱な気分を払いのけ、頭を
ぶるぶると横に振って両頬を軽く叩く。気持ちを入れ換えて、一歩踏み出した。

その瞬間。

「「牧野さん!」」

背後から声をかけられ振り向くと、スーツを着こなした若いサラリーマン風の男性が三人。

「こんにちは。」

「ふふ。まだおはようの時間だよ。長良くん。」

「1人で来たんだ?」

「そりゃそうよ。女1人だもん。吾妻くんたちは仲良いね。」

「‥‥‥‥。」

「おはよう。森井くん」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥はよ。」

声を掛けてきたこの三人は、同期になる予定の男の子たち。
ノリが良さそうな長良くんと、吾妻くん。少しクール(?)な森井くんだ。
この3人は幼なじみらしい。

皆、大卒だからあたしと同い年だ。

「邪魔だ、お前達。」

何だかんだと、話混んでしまったあたし達はどうやら本社の正面入口をふさいでしまっていたらしい。

後ろからサングラスをした黒いスーツの屈強そうな男たちに威圧感を持って牽制される。

「「「「すっ、すみません!」」」」


普段あまり喋らない森井くんまでもが一緒にハモッてしまった。

(………っつーか、何だか視線を感じる?)

ゆっくりと下げていた頭を恐る恐る上げて視線を探すと、同じ様に黒いスーツを着た何だかおっかなそうなおっさ………もとい、おじさんばかりだ。


(なんだ、気のせいか‥‥‥。)


そう思って背を向けようとしたけど、黒いスーツに囲まれた中心に見覚えのある黒髪のパーマが見えた。


思わず、二度見してしまう。




「!!!!」


ヤバい!!!!

何でもっと早く気づけなかったのだろうか。これは紛れもなくSPではないか。

つくしが仰ぎ見た先に居たのは、まだ少し距離はあったが見間違えるハズはない。

秀麗な美貌を携え、それでいて自分を殺さんばかりに睨み付けている百獣の王。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥じゃなくて。


愛しの彼氏、道明寺司がそこに存在感にドスを利かせて立っていた。
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