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ライオン #3

「腹減った‥‥。メシ食おーぜ。」

「あたしは良いけど‥‥15時から会食なんでしょ?いいの?」

今は12時。丁度お昼時だ。

「いんだよ。どうせいつもロクに食わねーし。」

「またそんな勿体ない事して!」

「お前、そう言うけどな。」

妙な迫力を持った道明寺の顔がズイっと近づいてきて。

「考えてもみろ。いくら旨い飯があったとしても、にやついたジジイが目の前に居ちゃ不味くなるってもんだ。」

「う‥‥っ、それは、そうかも。」

「だろ?」

そうかも知んないけど、相変わらずの物言いだ。


俺様、乱暴、単純の三拍子。


せめて、乱暴はもうちょっとどうにかなんないものか。






『副社長』なんて呼ばれてても、コイツも大概変わんないな。



「るせえ、お前だってそうだろ。」

「へっ?」

びっくりして、顔を上げた。

「童顔、鈍感、寸胴の三拍子。」

「せめて、鈍感はもうちょっとどうにかなんねぇ?」

「~~~うるさいよっ!」



‥‥‥‥また、やってしまった。



いつも何故か口に出てるらしい独り言。

何であたしはいつもこうなんだろう‥‥。

あたしも大概変わんないってことか?




「おし、行くか。」

差し伸べられた左手。

「あ、うん。」

つくしもつられて右手を出そうとする。

「‥‥って、いやいやいや!」

出そうとした右手をそのまま自分の目の前で振る。

「あ!?何が嫌だてめえ。」

すると、ピキっと道明寺に青筋がたったのが見えた。

「いや、『嫌』じゃなくてさ!」


ここは会社で、あたしは新入社員で、そしてアンタはその会社の副社長!!


「このまま出て行ったらどうなるか‥‥!」


またあの視線ビシバシ受けるのは分かりっきてるじゃん!!


両手を目の前に出して、待ったのポーズを作る。

「嫌嫌言ってんじゃねえ!」

ますますヒートアップする道明寺。

「だから、違うって!!」

だが、そのまま手を捕まれてしまった。


「来い。」










「‥‥‥‥‥‥躾てやる。」



上から落ちてきたその低い声にびくッ!として恐るおそる見上げると、


「‥‥‥‥‥‥‥。」


ーーーーめ、目が据わってるうぅぅ~~!!


ひやりと嫌な汗が流れて、痛い位に手首を捕んで引っ張られて。


ぐいぐいと、隣の部屋に連れ込まれた。



******





目の前には道明寺。


あたしをデスクの上に座らせて、あたしを逃がさないよう両端に手をついている。





「あっ!お腹空いたんだよね!?」

「あっ?」

「あ、あたしも、お腹すいた!何か食べよう!?」


何とかこの場を乗りきろうと、口から出た苦し紛れなセリフ。




「‥‥‥‥‥お前。」

「そんなんで、誤魔化されるとおもうか?」

目が据わってる道明寺。

「‥‥‥‥‥。」


思わない。



‥‥思わないけどさっ!


出来れば、誤魔化されて頂きたい。


「‥‥‥ちっとは、
空気読めるようになれよお前。」


"ちゅ。"



そう耳元で囁いて、首筋にキスをひとつ落とす。

「~~~っん!こら止めなさい!!」

「止めるわけねえだろ。」


ちゅうううううっ。


今度は耳の裏にきつく、吸い付いた。


「っ、ひゃぁ‥‥‥っ!」

牧野から出たカワイイ声。

‥‥‥‥このままここで喰っちまおうか?





゛プルルルルルルル‥‥゛

゛プルルルルルルル‥‥゛




ーーーータイミング悪く鳴った副社長室の内線。








‥‥‥‥‥‥きっと西田だ。



「で、でんわ!出なよっ!」

「やだ。」

「何いってんの!仕事中でしょ!?」


ーーーーあからさまにホッとした顔しやがって。


「お前が、キスしてくれたら出るよ。」

「やだよ、何であたしがっ!?」

「‥‥ふーん。あっそ。じゃあ出ねえ。」

「ガキかおのれはっ‥‥!!」

「ガキで結構。」

目の前にある嫌みなくらいに整った顔が嫌みったらしく笑って、もっと近づいてきて。

唇の距離が、あと1㎝‥‥‥

というところで。


"コンコンガチャッ!"






ノックの意味がない入り方をしてきた‥‥‥‥‥西田さん。


「うわあああっ!?」

"どんッ!"

「うわッ!」

"ガガン!"

あたしに突飛ばされた道明寺は数メートル先まで飛んでいった。


「いってぇ‥‥」

そのまま壁に頭を打ち付けた道明寺は、頭を擦った。

「‥‥‥言い忘れておりましたが。」

「何だよ、邪魔すんじゃねえ西田ッ!」

「社内規則、第12条・就業中は如何なる場合も与えられた職務を全うする事。」

「それを実行出来ない者は、ペナルティを課す事とする。」

「もちろん、副社長にも該当しますのでお忘れなきよう。」






「‥‥‥‥‥‥チッ、」

「舌打ちしないの!」

「あー、うるせーうるせー。」

「うるさいじゃないッ!」

「牧野様。」

「‥‥‥‥‥‥はい?」

「この度は弊社にご内定おめでとうございます。」

いきなり深々とお辞儀をしている西田さん。

「へっ?あ、はい?」

つくしはキョトンとして固まった。

「後れ馳せながら、私から。」

「ささやかでは御座いますが、お祝いの品としてこちらをご用意させて頂きました。」

おもむろにスーツの内ポケットから何かを取りだし、つくしに差し出した。

「いっ、いや、いいです!要りませんッ!」

ぶんぶんぶんっと首がもげそうなくらいに振り回した。

「そう、おっしゃらずに。」

「いえ、本っ当に要りませんから!!」

「ですが‥‥‥」

「?」

「もう既に受け取っていらっしゃるので、どうかそのままお持ち帰りください。」

「‥‥は?ど、どうゆう事ですか?」

「詳しくは、副社長よりご説明させて頂きますので。」

綺麗に頭を下げた西田さんは、すぐに部屋を出て行った。












「ねえ。」

「ん?」


仕方なく、さっきの意味を残りの一人に聞いてみた。


「意味が‥‥‥わかんないんだけど?」

右手には、無理矢理握らされた紙?みたいなもの。


「まっ、それは後のお楽しみってことだよ。」

そのまま隣を向いたら、にやけた顔があって。

それがムカついたので、回し蹴りを喰らわせてやった。
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