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ライオン #5

「牧野さん、何処行ったんだ?」

「けーすけ、知らないか?」

「‥‥‥さぁ?」

「タカは~?」

「知らないよ。」



つくしの居なくなった会議室では、このようなやり取りが行われていた。


「それにしても、牧野さんやってくれるよなあ~」

「あ、名札の話?」

「そうそう!」

「‥‥‥‥‥アレって、毎年一人しか付けれないヤツだよね。」

「お~!俺、あれ狙ってたのになあッ!」

「お前には無理だ。」

「ひでぇ!(笑)」

「‥‥‥‥コウは、別の分野で活躍出来るよきっと。」

「フォローありがとう!」

「‥‥‥‥しかし、本当すげえな。」

「うん。」

「パッと見、何処にでもいそうな女の子なのにな。」

「あんな、フツーに明るい子が‥‥‥まさかなあ?」




「「レベルが高すぎて、他の新入社員削っちまったんだもんなあ~!!」」

「‥‥‥‥‥‥‥そうなの?」

「ばっか。タカ、お前知らねえの?」

「今年、道明寺に受かった奴が一人飛び抜けてて、去年まで合格出来たような奴らが今年は落ちてんだよ!」

「俺ら男9人以外は話になんなかったって専らの噂だぜ!」

「それって‥‥‥‥。」

「そう!それが牧野さんだよ!」

「‥‥‥へー。すごい人なんだね。」

「だろっ??」

「しかも特典があるんだってよ!」

「「何?」」

「聞いて驚くなよ~!」

「いや、驚いて欲しそうな顔してんじゃん。」

「るせっ!」

「早く言ってよ。」

「~~なんと!」

「研修期間中限定で、副社長の秘書付き!」

「すげえっ!」

「だろっ??」

「でも、副社長って女嫌いで有名だろ。大丈夫なのかな?」

「仕事なんだし、副社長もそこは割り切るだろ。」

「だよな。」

「「いいなあ~~司さまの付き人!」」

「うん‥‥‥‥いいな。」


つくしと同期の長良、吾妻、森本の三人は、副社長の大ファンであった。








******




「ハッ!!」


「あっ、あたし、もう戻らないとっ!」




ーーーー呑気にケーキ食べてる場合じゃなかった!!

今日、自分が何しに来たのかやっと思い出した。




「‥‥‥なんで。」

司は、それまでにこにこしながら食べていたつくしの表情が変わったので、不満そうに言う。

「『なんで。』って‥‥!あたしは仮にも仕事で来たのよ?それに、そろそろ戻らないと変に思われたかも‥‥。」

「‥‥‥今更そんな心配すんな。それに、これも仕事のうちだから。」

「‥‥‥‥‥‥仕事??」

「おう。」

「あのねぇ‥‥‥。御飯食べて、お茶してるだけでなんで仕事なのよッ!」

「お前な‥‥‥。俺だって暇じゃねーんだぞ?ただ飯食いたいだけでお前を呼び出せると思ってんのか。」

「‥‥‥‥っえ?違うの?」

「違うに決まってんだろッ!」

「西田が、前祝いっつってたろ?」

「あぁ、そういえばそんなこと‥‥‥。」

そう言いながら受け取った紙を広げた。

「これ‥‥‥‥?」

「どうせここの食事券かなんかだろ?」

「‥‥‥よく、分かったね。」

ーーーーたしかに、そんな事が書かれている。

「まーな。車の迎えもやたら準備よかったし、行き先も言ってねーのに勝手に出発して、ここで止まったからな。」

「それに会社には、お前は特別研修期間中の説明ってことになってるから大丈夫だ。」

「‥‥‥‥‥‥特別期間??」

「だから早くその脂肪の固まり食っちまえ。本当に説明しておかなきゃなんねー事もあるし。」

道明寺が、まだ残っていたデザートに指をさして言った。

「脂肪言うなっ!」

「似たようなもんだろ。どーせクソ甘ぇんだから。」

「全然違うっ!これはタルトっていって‥‥!」




ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる二人。

個室なので回りからは見えなかったが、騒がしい二人の喧騒は店内で注目の的となり、店員達は苦笑いを浮かべた。




******




「ご馳走さまでした。」



店員に挨拶し、サッサと店を出ていくつくしに慌てて司が追いかけた。


「おい、待てよ!」

「‥‥待たない。」


ーーーーすたすたすたすたすた


「待てっつの!」

尚も歩みを止めないつくしに駆け寄った司が腕を掴んで引き留める。


「車、呼んでるから。乗るだろ?」

「いい。歩いて帰るから。」


ーーーーつーん。


「‥‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥‥。」

「‥‥‥なに、そんなイカってんだよ?」

プイッと顔を反らしたつくしに一瞬イラッとした司だったが、すぐに冷静になった。

「‥‥‥べつに。」

「はぁ‥‥‥。とにかく乗れ。」

「ちょおっと‥‥!あたしは乗らないって‥‥‥!」

「うるせえな。ガタガタ言うなッ!」


ーーーーぐいぐいぐいぐいッ!


つくしはすぐ傍に近づいていたリムジンへと強引に押された。


「ギャッ!どこ触ってんのよ!」

「だったらさっさと乗れ。」

「はーなーせーバカ男~!!」

「‥‥‥ほう。バカ男、ねぇ。」

道明寺の瞳が怪しくキラリと光ったのが見えた。

「ななな、何よッ!本当のことでしょう!」

ーーーーあたしは悪くないッ!

「いや‥‥‥」

「端から見たら、暴れまわってるお前も相当なもんだなって思って。」

「ぐぅっ‥‥‥!!」


顎に指を当てて、にやにや笑う司。

言葉に詰まってしまったつくし。



「とっ、とにかく!研修中は道明寺家住み込みなんて絶対認めないんだから~~~!!」



よく通るつくしの声。

近くで聞いていた司と運転手は本気で鼓膜が破れるかと思った。
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