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ライオン #11

「「「あッ!!」」」



ーーーー出勤早々、皆が一斉にハモった。








「牧野さん、おはよう!」

「おはようございます‥‥‥。」

「おっ、牧野社長。ご出勤ですか!?」

「あ、あははは‥‥‥。」

「牧野さーん!今日のカッコいいわよー♪」

「そりゃ、どうも‥‥‥‥。」

「‥‥おっ?牧野、今日も人気者だな!(笑)」

「なら、良いんですけどね‥‥‥。」

「へい、牧野くん!ノッテルかい!?」

「‥‥‥‥‥。」(無視)












ーーーーなんだよ。ノッテルかい?って。

ウチのぱぱがなんで混じってんのさ。

ノれるわけなかろうが。












「‥‥‥バッキャローーーー!!」








この気持ちの行き場がなくて、たまたま見つけた屋上で叫んだ。



入社してからというものの、入社式でのあの‥‥‥失態。

仮にも副社長に対して暴言吐いちゃって‥‥‥てゆうか、そんなのはいつもの事なんだけどね。

とにかく、

「あの副社長と対等に喋ったんだぞ!!」

‥‥‥‥みたいな感じで。

興味半分、面白半分。

同期に先輩、果ては上司までもが面白がって、毎日イジリ倒されている始末だ。

そう言えば‥‥‥英徳時代にもこんなことあったっけ?

唯一の救いは、さすが皆さん。一流企業に勤めているだけあって、仕事中は真面目そのもの。

だって、

『へい、牧野くん!ノッテルかい?』

とかほざいてた上司が、

『牧野くん。この書類、ミスが数点あるよ。あと5分で完璧に仕上げて。』

『ハイッ!すみません!』

‥‥‥‥なんて、様変わりしちゃうのがオソロシイ。






ーーーーいやいや。


普段遊んでても仕事が出来るって事なんだから、素晴らしいことなんだよな。


なーんて事を考えて、屋上でぼーっとしてたお昼休み。






「こんにちは。」

「あ、こ、こんにちは‥‥?」

(‥‥‥誰?)


知らない女の子に突然声を掛けられた。


「こんなとこで、何してるの?」

「え?いや、特に何も‥‥」



あたしに声を掛けてきたのは、ハーフっぽい顔立ちで、スラッとした体型の美人。

(綺麗な人‥‥‥静さんや椿お姉さんとタイはっちゃうかも。)

ぼんやりと、その容姿に見とれていた。


「‥‥あなたが、"牧野さん"よね?」

「?」

(ん?)

「はぁ。まぁそうですが。なんであたしの名前‥‥」

ーーーー何故かあたしを知っていた美女。

「あなたに、宣戦布告よっ!」

「‥‥はぁっ!?」

"ぺしっ!"

「あたっ!」

おでこに衝撃が走る。

「な、なにす‥‥‥!んん!?」

いきなり現れた女に額を叩かれ、非常識な行動に直ぐに反撃しようと勢いよく立ち上がった。

が。


「なんですかこれ‥‥」

「何って、あなたが一番良く知ってるでしょ?」

フフン、と言いたげな女の表情。

「‥‥‥‥。」

つくしの額からベリッと剥がされ、右手に移ったもの。それは‥‥‥



「庶民は庶民らしく、大人しくお勉強でもしていればいいのよ。 あの司様に取り入ろうなんて、図々しいにも程があるわ。」

「何が‥‥‥言いたいんですか?」

「あの人は、あなたには不釣り合いなのよっ!」

女は、キッとつくしを睨んだ。








「‥‥‥‥貴方に関係ないでしょう?」


‥‥‥一方つくしは、至って冷静な声だった。

(こんなのもう、慣れっこだよ。あの‥‥馬鹿のせいで。)

思えば英徳時代から、こんな体験は幾度となくしてきた。今さら、感情的に怒るのはバカってもんだ。


「おおありよッ!!」


ーーーー女が叫ぶ。


「!?」




「‥‥‥申し遅れました。この度、副社長・道明寺司様の秘書をさせて頂きます、速水あずみですわ。」

「ご挨拶がわりと言ってはなんですが、手始めに。司様の目を覚まさせるのが私の仕事だと思っております。」

「‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥。」

速水あずみは美しい微笑みを携えながら、高らかにつくしにライバル宣言をした。

対するつくしは、無表情で何を考えているのかわからない。











「‥‥‥‥‥ふーん。じゃ、頑張ってね。」

「ーー!?」

「そっ、そんな強がり、言ってて良いんですの!?」

「話はそれだけ?お昼休み終わっちゃうからもう良いですか?」

「‥‥‥あっ、待ちなさいよ!」

ーーーー踵を返し、さっさと屋上を出て行こうとするつくしをあずみは必死で引き留めた。

「‥‥‥まだ、なんか用ですか?」

振り返ったつくしは、鬱陶そうな表情をしている。

「私はあなたに、ライバル宣言したのよッ!?」

「聞いてましたよ。」

「じゃあなんで‥‥‥!」







「‥‥‥あのね。」

つくしは一呼吸置き目をうつむかせ、溜め息と共に吐き出した後、次の言葉を発した。





「 アレ はあたしのだから無理だよ。」




うつむかせた瞳を持ち上げ、今度は真っ直ぐにあずみを射抜く。


自信に溢れたつくしの表情は彼女に言葉を失わせ、屋上を出て行くつくしを黙って見送ったーーーー。




******






「‥‥また、牧野のヤツ居ねーし。」



ーーーー昼休み、珍しく時間が空いたもんだから。牧野の顔を覗きに来たが何処にもいなかった。

っつーか、時間が空くたび顔見に来てんのにいつもアイツはどっこにも居ねえ。



「一体どこ行ったんだ?アイツは。」






「ーーーーなぁ?西田。」


チラッと、右隣に視線を移す。





「‥‥‥‥‥‥調べておきます。」


西田は、業務外の仕事を頼むなと言いたかったが、経験上無駄な行為だとわかりきっていたので諦めた。





「あ、それとな。」

「これ渡しといて。」

「?」


ーーーーあるものが司から手渡された。


「これ、は‥‥‥?」

「あいつの。」



ーーーー成る程。



「しっかり届けさせて頂きます。」


「 ん。」



西田は受け取ったそれを、両方でしっかりと握り締めた。
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