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ライオン #18

ーーーーったく、何であいつはすぐに俺に連絡しねーんだよ!?



牧野が怪我をしたと思うといてもたっても居られなくて、西田専用の秘書室を飛び出し、牧野が搬送されたらしい近くの病院に向かった。

「‥‥‥チッ。」

だけどこんなときに限ってタクシーがなかなか掴まんねえ。

かといって、専用の運転手を呼んでたらもっと時間がかかりそうだ。

こんとき俺は苛々しながらひたすらタクシー待つしかなかったから、きっとすげー顔してたんだろう。

すれ違う全ての人間が俺を避けるようにしてそそくさと小走りに走ってった。










「 ‥‥‥‥。」


5分経過。











「 ‥‥‥‥。」



さらに10分経過。





ーーーーどんだけ待っても来ねえじゃねえかッ!!!!



「 ーーーーッックソ!」



もう、こうなったら強行手段だ。

スーツのポケットから携帯を取り出した。




" ピッ! "





「あ、俺だ。」

「‥‥‥ああ。いま会社に居るから、一台呼べ。いいな。」

「‥‥‥は?ふざけんな!そんなに待ってられるかッ!」


「‥‥‥5分だ。わかったな。」



" ‥‥ピッ! "



最後は電話先の相手がなにやら叫んで居たが、無視して切ってやった。

プロなら、そんくらいの根性みせてみろっつーんだ。




ーーーーったく!



牧野もいくらかけても電源切っててつかまんねーし、西田も知ってて俺に黙ってるし‥‥。

どいつもこいつも、一体どうなってやがる!!



はやる気持ちを抑えながら、さっき出て来たばかりの本社に戻り、エレベーターに乗って最上階に向かった。







******






「あ、あのさ‥‥。」


(と、とりあえず、ややこしくなる前になんとかしておかないと‥‥!!)


包帯でグルグル巻きの足を見ると良心が痛むが、あたしだって命は惜しい。


「 ? ‥‥‥ どうしたの?」

「あたしやっぱり、無理だよ。」

そういうと、ポカンとした目で見られた。まさか‥‥‥これしきの《お願い》が、棄却されるとは夢にも思わないんだろう。


「何が?」

「や、あの、その、『名前で呼んでよ』ってやつ。」


ーーーーここまで言って、気づいた。。



「 ‥‥‥‥ 。」

「ごっ、ごごご、ごめんね!助けて貰いながら断れる立場じゃないっていうのも解ってるんだけど‥‥!」

「たったそんなことって思うかも知れないけど、どーしても出来ない理由があってさ!」

「や、でも理由は勘弁して欲しいんだけど、ほかの事なら本当になんでもするしほんと!」


ーーーー端から見たらただの自意識過剰な女じゃないか!?あたしっ!!



「‥‥‥‥そっか。駄目か。」

「ごめんね‥‥‥。」

何故か少し寂しそうな吾妻くん。その様子を見ていたら、余計に凹んだ。

でも、それ以上強要されないのにホッとしたのも事実で。


「あ。でも、悪いんだけどさ。着替えだけは取って来てくれると助かるんだけど‥‥。」

「 ! あっ、それはもちろん!森本くん、このあと来るんだっけ!?」

「うん。」

「アイツ、ちょっととっつきにくいかもしんないけどさ。ちょっとの間、相手してやってよ。」

「あはは、うん、分かった!」


おどけたように言う彼に少し救われて、森本くんが現れるまでパイプ椅子に腰を掛け、ベッドに横たわる彼と喋りながら時間を潰した。






******





 バラ バラ バラ !!

   バラ バラ バラ!!




「!?」







「‥‥何でテメーが此処にいる?」






強風の中、つくしの居る病院の屋上へと辿り着いた司はパイロットが止めるのも聞かずに、着陸する前に急いで飛び降りた。

屋上の扉を開けてつくしのもとに向かおうとしたが、丁度その入り口辺りに女が立ち塞がっているのが見え、途端に司の表情が重くなる。


「 ‥‥‥私の名前は、先日、申しあげましたが?」

あずみはどうやら、司の" テメー "呼ばわりが気にくわないようだった。


「‥‥‥覚えてねーな。」


それがわかったのか、嘲笑うような
司の態度。



「 ‥‥‥‥。」



「退け。」

「‥‥‥嫌、です。」

「邪魔なんだよ!!」

「‥‥‥彼女のところに?」

「‥‥‥決まってんだろ!」

" ドンッ! "

「っきゃ‥‥!」

苛立ちもピークに達した司は、力づくで女を退かせた。


「‥‥‥!?」


しかし肩に触れた刹那、司の背中にゾクっと悪寒が走る。


「お前‥‥‥‥?」


「‥‥‥‥‥司様?」


司は突き飛ばした身体を恐る恐る振り返るが、なんてことはない。ただの女だ。

しかし、振り返ったことにより女は嬉しそうに笑った。


「 道明寺様!お待たせいたしました!」


丁度そこへ西田が手配したと思われる病院関係者が現れる。


「‥‥‥ああ、よろしく頼む。」



「‥‥‥‥‥‥待って!」



" バタン! "








引き止める女を無視し、司は病院内へと吸い込まれていく。

後に残った女の耳には、閉ざされた扉の音だけがいつまでも残っていた。





******



" どさ‥ っ "




「 お前ら‥‥。」



変わり果てた自宅のリビングを呆然と見つめる、ギリギリ180㎝いかないガタイの良い男のビジネスバッグが手から滑り落ちた。





ーーーーここは美作邸。


言わずと知れた少女趣味の豪邸に、司とつくしを除いた仲間達が勢揃いしていた。

「おっそーい!あきら!」

「おっ、あきらか!やっと来たな!」

「ほんとですよ、美作さん。あまりに遅いんで、皆もう始めちゃいましたよ?」

「‥‥‥Zzzzzz。」








自宅リビングには、空になった瓶や缶がそこいら中に転がり、酒臭さが漂っている。


ソファーベッドに転がってる約一名は、酔って寝たのか元々寝ていたのかさえわからねえ。


「 ‥‥‥‥‥。」


ーーーーこいつらの頭はおかしいのか?


記憶にない約束事(?)に遅れたらしい俺。

久しぶりに仕事帰りに実家に寄ったら、何故か‥‥懐かしい顔が勢揃いしている。

ーーーーっつーか、ホントに約束してないよな!?


「‥‥‥なんか、あったのか?」


本当に身に覚えはなかったが、帰るなり遅い遅いとまくし立てられて、俺が悪いんじゃないかって気にさせられる。




「ないよ?」




お袋のケーキを頬張り、クリームが付いたまぬけな口からケロリとした声が聞こえた。



「ないのかよ‥‥。」



ーーーーやっぱり‥‥‥。


何となく答えがわかっていても、ガックリしてしまうのは仕方がないだろう?

力が抜けたせいで、その時俺は桜子が言った『なにかあるのは今からなんじゃないですか?』という言葉を聞き逃してしまった。



「‥‥‥‥それより、あきら。」

「ん?」

「ちょっくら、休みか、香港行きの出張取れねえか?」




「‥‥‥はあぁ??」
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