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ライオン #20

「‥‥‥‥おいっ!てめえいい加減に起きろっ!」

" ゴンッ!! "

「ギャッ!!」

司の石頭がつくしの頭へ容赦のない頭突きを食らわすと、さすがのつくしもあまりの衝撃で目を覚ました。




「いぃっっ‥‥‥たぁ~~。」

「いつまでも寝てんな!ぼけ!」

「なっ、何も毎回毎回、頭突きで起こさなくったっていーでしょーがっ!!」

頭突かれた頭を擦りながら俺に文句を言う牧野。

「テメーが毎回毎回、ところ構わず寝てっからだろ!嫌なら昼寝すんじゃねーよ!!」

「ぅぐ‥‥‥っ!」


もとはといえばコイツが悪い。それなのに、まだ痛いのか涙目で俺を睨みながら訴えてくる。


「~~~しょーがないじゃん!あんたのせいで眠くなっちゃうんだから!!」

「は?なんで俺のせいなんだよ!!」

「だって、あんたがいっつも‥‥‥っ!」



「‥‥‥‥‥‥?」


ここまで来て言葉を濁す牧野。


「‥‥‥俺が、どうしたんだよ?」

「‥‥‥や、何でもない。もういい。」

「は?良くねーだろ。言えよ。」


ーーーーそっぽを向いた牧野の顔が、ほんの少し赤らんで見えたのは気のせいか?


「~~~もう、いいのっ!あたしが悪うございましたっ!」

「‥‥‥‥なんだよ、それ?」


腑に落ちないような司に、つくしは何でもない何でもないっと言って誤魔化した。





「‥‥あ。そうだ。」

「?」

「あたし、香港には一緒に行けないから。」

「‥‥はぁっ!?」

「なに言ってんだ!お前、俺がゲイだのバイだの疑われてんの知ってんだろ!?」

「知ってるもなにも、アンタが教えたんでしょうが!」

「じゃ、何で行かねえとか言ってんだ!」

「誰も" 行かない "なんて言ってないでしょ!?あたしは行けないって言ったの!」

「!? 同じことだろうが!!」

「ちっがーーーーう!」

「 ? 」


ーーーーなんだ、なんだ?結局行かねえって話じゃねーのか?


「仕方がないから、パーティには出るわよ。」

「あ?」

「でも、こっちにだって仕事があんの!だから、" 一緒に "は行けないってこと!分かった?」

「‥‥‥‥‥あ、あぁ。」


ーーーーなんだ、そういう事か。牧野のやつ、この期に及んで行かない気かと思ったぜ。

「なら早くそう言えよ。」

「言ったでしょ!あんたが勘違いしただけでっ!」

「うるせえ。紛らわしい言い方しやがって。」

「あたしが悪いの!?もうっ!」

「そーゆうことなら、ウチのジェット飛ばして来いよ。」

「え、やだよ!」

「やだもクソもあるか。どーせ俺の居ねえとこでは隙だらけなお前のことだ、一人で飛行機乗ったら迷子になるに決まってる。」

「そっ、そんなことないわよ!失礼しちゃう!」


" 失礼 "?どの口が、こんなことを言うのか。


「ほぉう‥‥‥?」

「なによっ!」

「雪山‥‥パリ‥‥行くとこ行くとこ、迷子になってたのは誰だったっけなぁ‥‥。」

「 ! 」


ーーーーわざわざそんな大昔の事を持ち出さなくてもッ!!




「っつーわけだ。おとなしく連れられて来い。」

「‥‥‥‥‥‥やだ。」

「あぁ!?」

「だっ、だって!アンタん家のジェット目立つんだもん。派手で。」

「 ? 」

「あれくれー、フツーだろ。」

「断じて普通じゃない!普通の乗り物は、ゼブラ柄なんかしてないっ!!」

「格好良くね?」

「あほかっ!あれ乗る度に、目立ちまくって恥ずかしいったらないよ!もうある意味トラウマなんだけど!」


「 ‥‥‥‥‥‥とらうま?」


何故か、それきり黙ってしまった道明寺。


‥‥‥あれ?


あたし、なんか変なこと言ったか?



「‥‥‥お前な、ゼブラはトラやウマじゃねえぞ?」

「誰がそんな話をしてるかっ!」

「‥‥あ!」

「 ? 」

「お前の父ちゃん、またクビになったのか。」

「なるかっ!なるかもしんないけどね!」




「‥‥‥お前、そこは否定しとけよ。」



ーーーーもう本当に、頭が痛いったらないわ‥‥‥。



******








高層ビルからの夜景を眺めるふたつの影。

その影は、折り重なるように寄り添っている。



「わぁ‥‥‥ッ!」

「どうだ?綺麗だろう?」

「うん、本当に凄いわ!この夜景!!」

「俺、お前にこの100万ドルの夜景を見せてやりたかったんだ。」

「ほんと?道明寺‥‥‥。」

「嘘なんかつくかよ。いつだって俺は、お前の事を考えてるんだぜ?」

「ウレシイ‥‥‥道明寺。」

「ははは。何、泣いてんだよ。馬鹿なヤツだな。」

「だって、本当に嬉しくって!」

「ほら、いつまでも泣いてないで、こっちへおいで。つくし。」

「道明‥‥‥ううん、司。大好きよ。」

「なに言ってんだ。俺の方が愛してるよ‥‥‥。」



ーーーむっちゅううううう~!!!











" スパコーーーーーン!!"



「「イテェッ!!」」


ーーー二人の後頭部に、軽快な音がなり響いた。それを奏でたのは勿論‥‥


「やめんかっ!!」

「人でキモい想像すんじゃねえっ!!」

「‥‥‥‥‥やっと、終わったの?長かったね。」

「は、はははは‥‥‥。」


司とつくしの愛の劇場を ( 勝手に) 繰り広げたお祭りコンビ。

演技終了後、本人達からの鉄槌を食らうことになった。



「‥‥‥‥全く。あんたたちはいつもそんな事ばっかり!優紀がドン引きしてんじゃないのよ!」

「つつ、つくし、そんなことは‥‥。」

急に話をふられた優紀は動揺した。

「わー!つくしちゃん、こわぁーい♪」

「牧野。そんな顔してると、そんな顔したババァになっちまうぜ。」


おどける西門と、女性にとっては禁句を真面目な顔をして言う美作。


" スパン! " " バコッ! "


そんな懲りない二人に、もう一発ずつ。


「誰がババァよ、誰がッ!!」

「バカ野郎!牧野はババァになっても可愛いに決まってンだよ!」

「 !?」


ーーーーこいつは何を言い出すのかっ!!



「‥‥‥‥‥‥‥司、それ論点ずれてねえ?」

「 牧野、顔まっかだよ?」

「あはは、ごちそうさま。」


「~~~~!!」


ーーーー真っ赤にもなるわよっ!!


類の言葉に赤面したあたしは、そのあと何を勘違いしたのか、隣に居る猛獣がなにやら叫んでいた。

まあ、いつもの事だから放っといたけど。





「‥‥ねえ。ところでいつ行くの?香港。」

「あ?類、お前あの時聞いてなかったのかよ!!」

「うん。寝てたから。」

「寝てたじゃねーよ‥‥‥。」

開き直るんじゃねーよと言いたげな美作さんの頭がもたげていた。

そこに、

「類く~ん。」

滋がひょっこり現れた。

「なに?大河原。」

「類君の秘書さんには私から連絡入れといたから、予定は空けてくれてるはずだよ。」

「‥‥‥そっか。ありがと。」

「どういたしまして♪」

「で、いつ?」

「明日だよ~♪」






「「「「 明日ぁ!? 」」」」






******


~翌日~



「牧野さん!」

「‥‥‥はい?」


いつもの様に社内を歩いていると、背後から男性社員に呼び止められた。

‥‥‥‥えぇ~っと、この人の名前なんだったっけ?

見たこと、ないよね?

でも背が凄く高くて格好いい、なかなか素敵なおじ様って感じ。


「副社長、今日から出張だって?」

「へ?」

「あ、あぁ。そうみたいですね。」



ーーーーあたしも数時間前までは知らなかったんだけどね。


この見たことないおじさんは、初対面とは思えない位にフランクに話かけてきた。


「それで、悪いんだけどさ。このコピー頼まれてやってくれないかな?」

「人が居なくて困ってんだよね~。」

ーーーーおじさんの手には、大量の資料が抱えられていた。

( う、うっわぁ。これは道明寺とタイ張っちゃうくらいの仕事量かも。)

「あ、いいですよ。なんなら他にもお手伝い出来る事があれば。」

「本当かい!?有り難う!助かるよ!」

ーーーー助かった!そう言わんばかりの瞳のおじさん。

素直な反応がかわいくて、思わずクスリと笑ってしまった。

「いえいえ。ちょうど暇なんですよ。」

「‥‥‥‥って君、その制服秘書課だろう?いいの?自分の仕事‥‥」


ーーーーしまった。


「えっ、あ、ああ!いいんです、いいんです!」

「でも‥‥‥‥。」

「ほっ、ほら早くしなきゃ!コピーとって来ますね!何処に届けたらいいですかっ!?」

「じゃ、じゃあ、営業部に‥‥。」

「了解しました~っ!!」


あたしが秘書課だと見るや否や、一度出した資料を引っ込めそうになった営業部 (?) のおじさん。

せっかくやっと仕事出来るってのに、奪われちゃ堪らないと、おじさんを無理矢理追いやってしまった。







ーーーーだって、暇なんだもん。


今日香港に飛び立ったあいつが、あたしの仕事取り上げちゃったから。

『おとなしく座ってろよ!!』

そう言って、西田さん経由で取り上げられたらもうどうしようもない。

『本当なら、邸に閉じ込めとく所だ!仕事に行けるだけ、有り難く思えっ!』

ーーーー思わないわよ、バカ!!

来ても、仕事が出来ないんなら一緒じゃない!

そこで、仕事を探してうろうろしてたら、運良くさっきのおじさんが現れたというわけ。

ーーーーああ、よかった。

何かしてないと本当に落ちつかないのよね~♪



つくしは鼻唄を歌いながら、コピー取りを楽しんだ。












その様子を、つくしの死角から眺めるふたつの影。



「なぁ西田。」

「‥‥‥なんでしょうか?」

「僕も‥‥長いこと働いてきたけど。あんなに楽しそうにコピーをとるのは彼女が、初めて‥‥だよ。」

「‥‥‥声が、震えていますよ。」

「震えも‥‥するだろ!‥‥ククッ。」

「このままではバレてしまいます。お控え下さい。」

「ごめんごめん。」



そのまま二人は部屋をソッと出て行き、廊下に出る。



「さあ、気は済みましたでしょうか?」

「ああ、西田。充分楽しませて貰ったよ。ありがとう。」

「とんでもございません、会長。」
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