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記憶喪失物語。#6

「モデルさん入りまーす!!」

スタッフの人に連れられて、モデルさんが到着したようだ。

教えてもらったばかりの、昼でも夜でも"おはようございます"の業界用語の挨拶を言おうと、顔を上げたその時。

「「「きゃああぁぁあああぁぁああぁあ@Χ□$▲%☆#!!!!!!!」」」

最後は何言ってんだかわかんない黄色い歓声に包まれたであろうモデル達。

つくしは耳がキィィ~~~ンとなって、思わず耳を塞ぐ。

耳を塞いだと同時に瞑った目をそろりと開いていく。

「!!!????」

思わず目を疑った。

「「「おっ!!」」」

「「「牧野発見!」」」



「げっ」

そこにいたのは‥‥‥F 3。

きれいにハモってつくしの名を呼んだ。

「ていうか、花沢類まで何ハモってんのよ‥‥‥」

ガクッ、と肩を落としたつくしだった。


******


~休憩時間~



つくしは全力疾走していた。



「「「牧野さぁ~~~んっ!」」」

ズドドドドドドド、と音がしそうな勢いで大多数の女の子達が追いかけてくる。

「ひいぃいいいい~~~~っ!!」

なんで追いかけて来るかなんて、聞かなくてもわかる。

F 4のことだ。

一人ひとりなら上手くかわせるかもだけど、さすがに束で来られると、英徳のいじめとはまた違った恐ろしさがある。

(と、とにかく隠れなきゃっ!)

女子軍団から逃れようと、ちょこまかちょこまかと目に止まったまがり角全てをまがり、なんとか撒けた。

だが。

「牧野さん居た!?」

「居ない!そっちはどう!?」

「見つかんな~い!!もう、どこ行っちゃったの!?」

あちらこちらから、そんな声が聞こえて来るではないか。

「じゃ、こっちね!!」

「あっ!あなたはそっちから回って!」

こっちは1人。

あっちは20人は居るだろう。

多勢に無勢とはこのことだ。

だんだん、足音も声も色んな方向から近づいてきた。





ああ、もう足がガクガクしてまともに走れそうにない。





もう、ダメだ‥‥‥っ!!!










覚悟をしたその時。

グイッ!!

「こっちだ。」

体温の高い手に、二の腕を捕まれた。


******


姉ちゃんに無理やり叩き起こされた。

それも、叫ぶとか揺らすとかじゃない。

文字通り、往復ビンタを喰らった。

『つかさああっ!』

ドカッ!!!!

バサッ!

『こんな昼まで寝こけてんじゃないよっ!』

パパパパパパパン!!

『やっ、やめろ‥‥‥!』

『わかったらはい!起きる!』

『何なんだよ‥‥!朝から‥‥』

『あ、アンタ、こないだの約束もう忘れちゃったのっ!?』

椿の顔が真っ青になる。

『あ?約束?』

『お姉ちゃんは悲しいっ!!』

パパパパパパパパパン!!

『人と約束したことも守れないなんてっ!』

『お姉ちゃんはそんな子に育てた覚えは無いっ!』

パパパパパパパパパン!!

『わかった!!わかったから暴力で訴えんじゃねえーーー!!!!』

道明寺司らしからぬ言葉だった。




おかげで、叩かれた両頬はほんのり赤くなっちまって、少し腫れた。

モデルの仕事押し付けたくせに、モデルの顔叩くなっつーの!!

おかげで、叩かれた頬冷やしてる間にあきら達に置いてかれるし。

おまけに一番嫌いな写真の撮影だし。

カメラごと、ぶっ壊してやろうか‥‥‥。

司がそんな物騒なことを考えながら、リムジンに揺られてついた先は。


メープルホテル。


「司様。到着致しました。」

「ん。」

運転手がまず降りて、司の後部座席のドアを開ける。


ガチャリ。


車内から司が一歩踏み出すと、ザッという音がして、終わりの見えない見事な花道が出来上がる。


一人ひとりが超一流ホテルの従業員の風貌を醸し出しており、一般人の目からはとても眩しい光景だ。





だが、上には上が居る。




超一流のホテルマン達に囲まれても、霞むことのない神々しいオーラに包まれた、未来の道明寺グループのトップ。


「「「「お帰りなさいませ。」」」」


「「「「司様。」」」」



そう。彼の名は、道明寺 司。



彼は無表情でその花道を足早に通り抜けた。


******



メープルに着いてから、どことなく騒がしい気がする。


‥‥‥ほら、また。


『ドドドドドドドドド』


とかいう音が。

一体誰だ!?うちは運動場じゃねえんだぞ!?

直ぐ支配人言って‥‥‥!!






いや、まて‥‥‥?

「!?」

ヤバい!嫌な予感がする!!

どんどん近づいて来る足音に身の危険を感じ、即座に勘に従って何とか身を隠す。

F4は普段から男女問わず追っかけが多いので、姿を現そうものならすぐに騒ぎになって、もみくちゃにされてしまう。

普段なら一喝すれば良い話だが、ここは重要な取引先も泊まるメープル。

出来る事ならそれは避けたい。

何故なら、昔それをやって姉ちゃんにバレて締め上げられた。

それはもう、容赦なく。







俺は昔から姉ちゃんには勝てない。


力ではもちろん勝てるだろうけど、力でねじ伏せようとは思えない稀な人間だ。



あとは、アイツにも‥‥‥






「?」


あれ?アイツって誰だ??
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