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シンデレラのパンプス act 2

「先輩、なんか顔変じゃありません?」

ギクッ!

「そそそ、そーお?」

「なんか目が赤いような……。」

「き、気のせい気のせいッ!」

「 …………。」

ジィーーーーッ。

「なによ、そんなに見ないでよ!」

「何を、そんなに慌てているんですか?」

「あっ、慌てる!?」

「そんなわけないじゃんっ!ほら、いたって普通だし!!」

「……ふぅ~ん。」

「あっ、ほら! ここでお茶しよ! ねっ!?」

「…………。」

「ケーキ驕るからさ!」











「……ケーキじゃなくて、紅茶がいいです。」







******



そんな感じで、あたし行きつけのカフェにやって来たんだけど。

普段からたっかい店ばかり入っているからか、目の前の桜子は薄暗い店内に入っても何故か目元は険しいままで……


「さ、桜子っ??」

「……。」



目線を落としたまま、返事がない。



「あの、どうかしたの?」

「……。」







ーーーー無視ですか?



……そりゃ、そうかもしんないけどさあっ!


これはダメだと感じたあたしは、勢い余って目の前のテーブルを バン! と叩いてしまった。


「あのね、桜子っ!」

「…………はっ?」

「そりゃ、ここのお店はちょっと汚くて、紅茶も微妙かもしんないよ!?」

「…………??」

「でもね? ここのオーナーとスタッフさんはすっごくいい人ばっかでね、今あたしが食べてるこのケーキだって絶品とまではいかないけどさ! この笑顔があれば味なんかどーだっていいじゃないっ!」

「……はぁ、そうですか。」

「だからね、あんたもその目の前にある紅茶をぐぐいっと……!」

「先輩、さっきからなんの話をしてるんですか?」

「ぐぐぐいっと……って、え?」

「ーーーー 先輩?」

「……いや、あのだって、ここの紅茶が口に合わなくて機嫌悪かったんじゃないの?」

「違います。」









「違うんだ……。」



ーーーーなんだ、よかった。


あたしはまたてっきり、そのことで機嫌が悪かったのかと。


あぁ良かった、と。胸を撫で下ろしたのも束の間、背後には気付かないうちに人影が。


ーーーー ポンポン。


「へ?」


後ろから肩を叩かれ振り返ると、そこには悲しそうな顔をした顔馴染みのオーナーが。


「ひっ、お、オーナー……!」

「ごめんね、つくしちゃん。」

「えええ? な、何がですかあ?」

「ケーキも紅茶も微妙な味で。」

「い、今の聞いて……!?」

「聞こえちゃったねえ……。」

「……ごめんなさい。」



悲しそうなオーナーの顔。

聞かれてはいけないことを聞かれてしまった。













「まったく、なにやってるんですか、先輩は。」

「だって、あんなとこにオーナーがいると思わないじゃん。 あたしだってわざとじゃ……。」

「だから、何を言ってるんです?」

「へ?」

「私が言ってるのは、道明寺さんとのことですよ。」

「……なんで、道明寺?」

「…………。」

呆れ顔の桜子は、しばらくつくしの顔を見つめるとやれやれ、と首を振る。

「ちょっと!?」

「先輩からするとバレてないつもりでしょうけど、端から見たらバレバレってことです。」

「だから、なにが……。」

「何か、あったんでしょう? つい最近まで、見たことないくらいあんなに可愛かったのに……。ここ数日はすっごい不細工です。」

「おいっ、不細工って!!」

「もうすぐ帰ってくる道明寺さんも、そんな顔見たくないと思いますよ?」

「!」

「まぁ、その本人が原因なんでしょうけど。」

「…………。」

「いいじゃないですか、たまには素直に甘えてみても。 道明寺さんだって今まで頑張ってきたんだもの。 そのくらいのご褒美あげてくださいよ。」

「ご、ご褒美って……。」

「先輩はあんな大金持ちの彼氏が居たって、どうせ何も欲しがらないんでしょう?」

「……だって、別になにも欲しくないし。」

「ほらね。素直じゃない。」

「…………。」


だって、あたしが本当に欲しいものは……。


「道明寺さんと、一緒に居られる時間は欲しいんじゃないですか?」

「 !! 」

「ふふっ、当たりですか。」

「じゃあ、それを伝えてあげてくださいよ。 きっとそれが一番のプレゼントです。」

「そんなバカな……。」

「騙されたと思って、一度試して下さいよ! ねっ?」

「……えぇ~~~??」


つくしはうぅ~んと唸り、目を瞑り考える振りをした。








その結果。

「…………一度騙されたことがあるから、やっぱあんたはダメ。」

「じゃあ、その信頼を取り戻す為に私が服見立ててあげますから。行きましょ!」

「あっ、ちょっと!?」




嫌味に全く動じないのがこの女の凄い所だ。

ま、それがわかってて言ったんだけどさ。

とにかくグイグイと腕を引っ張られ、桜子に誘拐されるように移動し、気付いたらあたしは懐かしい場所にいた。




******



「専務。」

「あ?」

「お疲れ様でした。 本日を持ちまして、NYでの業務は一旦終了となりなす。」


最後の書類に判を押し、秘書に手渡すと、こう告げられた。


「……あぁ、世話になったな。」


ーーーーやっと、終わった。


感慨深い気持ちで秘書の顔を見上げて俺もそう告げる。









色々あった。


こっちに来た当初は、英語もロクに話せなくて。


優秀なこいつ……いや、コイツ等に。俺は何度助けられたかわかんねえ。

俺と秘書は互いに無言だったが、目と目で会話をしたら、共に歩んできた4年間を分かち合えた気がした。










「……ん??」

気付くと、俺のデスク周りにはぎゅうぎゅうに人が詰め込まれている。

「お前ら、どうした? まだなんか残ってたのかよ。」

「いえ。」

「じゃ、なんだ?」

「専務にお礼がしたくて……。」

「へ?」

「コレ、受け取って下さい!!」

「…………。」

しばらく俺は状況が飲み込めず、バサっと差し出された花束を受け取りもせず、呆然と眺めていた。

「あ、あの……?」

そんな俺を見て不安そうな顔をした部下の声に引き戻され、我にかえると、立ち上がって直ぐ様花を受け取り礼を言う。


「……サンキュ。」


「「「「 !!!! 」」」」




何故か一気に周囲はざわつきだし、皆が落ち着きなくキョロキョロとしている。

「……どうしたんだ? いったい。」

「いいいいいい、いえっ!」

「??」


一番近くに居た奴に声を掛けるが、こいつも少しオカシイ。

首の取れそうな勢いで振りかぶった後、何故か顔を真っ赤にして俯いた。


「変な奴だな。」



ーーーーこの反応、まるで牧野みてーだ。


懐かしい思い出に捕らわれながらも、同時に、思い出すだけで胸が苦しくなる自分に苦笑した。


「「「「 !!!! 」」」」


再びざわつき出したその時。専務室の外から迎えが来たとの報告を受けた。


 コンコン。


「司さま。 お迎えにあがりました。」

「おう。 もうそんな時間か。」

「じゃ、これサンキュ。 またな。」


そのままジャケットを腕にかけて立ち去ろうとすると、再度呼び止められることになる。


「……専務っ!」

「ん?」

「日本に戻りましたら、副社長に就任されると聞いたのですが……。」

「あー……そうだろうな。多分。」


そういえば、親父がそんなん言ってたか。


「ますますのご活躍を我々一同、お祈りしております。」


「……………………。」


この時の俺は空気も読まずに、神妙な面持ちの社員等に何故か笑いがこぼれた。


" クッ "


「お前らが居りゃ、大丈夫だよ。 これからも道明寺を宜しく頼む。」



「「「「 ……はいっ!! 」」」」








地面が割れんばかりの返答を背後に、背中を押されるようにして NY本社 を後にした。













 プルルル……

    プルルルル



「 ん?」


空港行きのリムジンに乗り込むなり、携帯が鳴る。


「……誰だ?」


直ぐに取り出し着信を見ると、そこには " 牧野 " の文字が。


「……もしもし。」


逸る気持ちを悟られないよう、冷静を繕って通話ボタンを押した。


「道明寺さん!? 大変です!」

「……誰だ? お前。」


牧野の携帯のハズが、実際に出たのは違う女の声。

しかも女はやたらテンパってて、何が言いたいかわかんねー。


「あぁっ! すみません、三条です! あの、あのあのあのっ!!」

「……三条?」

「何がどう大変なんだよ。 取り合えず落ち着け。 なに言ってっか全然わかんねーよ。」


そう言ってやると、三条はいくらか平常心を取り戻した。


「……あ、そう、ですね。 私としたことが……。」

「いいから、用件は何なんだよ。」

「……道明寺さん、先輩が大変なんですっ!!」


「!?」
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