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記憶喪失物語。#8

カシャーカシャーカシャー

絶え間なくたかれているフラッシュと、シャッターの機械音。

「ハーイ、いいですよ~」

カメラマンの機嫌を取るような声。







ーーーーそのレンズ越しには、見目麗しき美少年たち。




カメラに愛想をふりまく西門さんと美作さん。

器用にポーズまでとっちゃってまぁ。

本番前まではブーブー言ってたのなんて嘘みたいだ。



「ハーイ!オッケーです!」

「西門様、美作様、撮影終了です。」

「お疲れさまです!!」


カメラマンからの撮影終了の合図が出た。






「っあ~!!つっかれたー!」

「本当、顔の筋肉がヤバい。」

先に撮影を終えた西門さんと美作さん。

美作さんは本当に顔が疲れたみたいで、眉間や頬を押したり引っ張ったりしてる。

「ふふっ。はいっ!二人ともお疲れさま。」

そう言って、あたしは二人ミネラルウォーターを手渡した。

「「サンキュー。」」

またハモってるし。

本当仲良いなぁ。

ちょっと可笑しくって、少し笑ってしまった。

「何笑ってんだよ。」

「ん?何でもない、何でもない。」

あわてて手を振った。

「変なやつっ。」

だって理由なんか話したら、きっと怒られちゃう。



「‥‥‥司と類、アイツらちゃんとやってんのか?」

「さあな。取り敢えず今のところ破壊音はしてねーよな?」

「ああ。」

「あの問題児2人がペアなんて、こっちが生きてる心地しねえんだけど。」

「何が起こっても不思議じゃねえ。」


ここに居ない事をいいことに、かなり言いたい放題の二人。

そしてあたしもその件に関しては、否定出来ないでいる。



「あ、あのさ!」

思い切って声をかける。

「「ん?」」

「二人は今からどうするの?撮影はもう終わったんでしょ?」

バレないように慎重に。慎重に。


顔に出ちゃいそうだから、さりげなく後ろを向いた。


「あー。」

「どーすっか。」

「どうせ今日は暇だしなあ。」

よしっ!

「じゃあさっ!‥‥‥道明寺たち待って、一緒に帰ったら?」






「「‥‥‥‥。」」


「‥‥‥‥。」



視線が痛くて後ろを振り向くと。


4つの綺麗な目が、無言であたしを見つめてた。

「な、なによっ!」

無言でにやつきだした二人。


「牧野。」

ピクッ!

つくしの身体が、こわばる。

「お前、もしかして。」

ピクピクッ!

肩が、飛び跳ねる。

「「なんか、やらかしただろう。」」

いつの間にか側に来ていた二人の手が、ポンッとあたしの両肩に置かれ。

そっと見上げると、二人の両目が妖しく光っているのが見えた。




******



「「ぎゃははははははは!!!」」





やっぱりこんな反応かい。

言うんじゃなかった。


あたしはいたって真剣なのに、この二人にかかると、こんな風に笑い話と化してしまうことがよくある。

「わりーわりー、つい。」

キッと二人を睨むあたしに気付いた西門さんが、半分涙目で笑いながら言う。

「だってお前、自分の彼氏に2回も宣戦布告すんのなんて‥‥‥」

「告白ならまだしも‥‥」

「しかも、なんだ?」

「「赤札宣言されたって!?」」

「世界広しと言えど、そんな事をしてるカップルはお前等くらいだ。」

「お前らな。青春は短いんだぞ?」

「同じ事何回も繰り返してる暇があったら、色仕掛けのひとつでもしてみろ。」

「そうだそうだ。牧野、この際司を色気で落としてみたらどうだ?」

「上手く行けば、司はまた元通り牧野バカだ。」

「いや、待て総二郎。牧野にはそもそもその武器がねぇ。」

「「ぎゃははははははは!!!」」



また、爆笑の渦に飲み込まれた。




「~~~ちょっと!アンタたち、さっきから好きなことばっか言ってんじゃないよ!」


ボカッ!


ドカッ!


つくしが顔を真っ赤にして、お祭りコンビに制裁を与えた。



ガラッ



「何の話?」



突然、部屋のドアが開いて声がかけられた。


「は、なざわるい。」


部屋に入って来たのは類。

少し会話を聞かれてしまったようだ。



さっきの余韻で、まだ顔が熱い。

つくしは恥ずかしくなって、顔を背けた。




******


やっと撮影が終わって、総二郎とあきらがいる部屋に向かう。

「あ~何すっかな。」

「ふぁにが?」

ふあぁあ~~っと、類が欠伸をしながら俺に応える。


「くぁっ。」



‥‥‥おっと、類見てたら俺までうつっちまった。



「‥‥‥相変わらず身の抜けたやつだな。」

「『気の抜けた』でしょ。」

「お、男が細けぇ事気にすんじゃねえっ!!」

「ハイハイ。」

さら~っと受け流してくれやがって類の奴‥‥‥。

暫く歩いていると、明るい声が届いてきた。


『ぎゃはははははは!!』

『~~~~!~~~~~!!』


何かごちゃごちゃ言ってっけど、内容まで聞き取れねえ。


「何か楽しそうだね。」


類がそう言って、気持ち早足になる。


類の方を見やると、









(笑ってる‥‥‥?)





こいつも基本、大概無表情なやつだから表情の変化は本当に些細なもので。

俺たちでやっとわかるレベルだから、他の奴には全然わかんねえだろう。









そう思ってたのに。




目の前の類は、明らかに笑ってる。


楽しそうに。


幸せそうに笑ってる類を見ていたら、胸がざわついて。


この気持ちが何なのかわからなくて、その正体が知りたくて、


結構先に進んだ類を慌てて追った。
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