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ライオン #32

「ちょっと、失礼。」

「えっ?」


背後から聞こえた声に聞き覚えのあるような気がして後ろを振り返ると、そこには見覚えのある顔が。


「あれっ、おじさん?」

「やぁ、また会ったね。」


道明寺本社で会ったことのあるおじさんは、目を細めてあたしに優しく笑いかけてくれた。

おじさんは ちょっと今時間あるかな? とあたしに確認すると、返事を聞く前に、目配せで少し離れた場所を指定してきたのであたしもそれについていった。


「おじさんもここのパーティに参加してたんですね。」

「あぁ。ちょっと、野暮用でね。」

「野暮用?」

「うん。 息子が今日、自分の彼女を紹介してくれるらしくってさ、嬉しくって早く着いちゃったんだよ。」

「へえ~~~。」


こんなところで紹介するのか。

気軽に おじさん なんて呼んじゃってたけど、もしかしておじさんも相当なお金持ちだったりするのかな……。


「僕としてはもっと早く会いたかったんだけどね、息子がケチでなかなか合わせてくれなかったんだよ。 たぶん彼女を独り占めしたかったんだろうね。」

「あははっ、可愛い息子さんですね。」

「だろう? でもこのままじゃ、僕が単にあいつに意地悪されてただけになっちゃうからなぁ。」

「それもそうですね。」

う~ん、何かいい方法はないものか…… と、おじさんは手を額に当てて考え込んでしまった。

でもそろそろ、あたしも戻らないと。

あいつが戻ってきた時にいなかったら、きっと大暴れ確実だわ。

とりあえずあいつが戻ってきていないかどうかだけ確認しようと会場を見渡すと、そうだ! っと何かひらめいたかのようなおじさんが、あたしの腕を咄嗟に?まえた。

「!?」


ーーーーなんだ急にっ!?


「そうだよ! 君に協力してもらえばいいんじゃないか!」

「え、あの、ちょっとおじさん!?」

「さあ行こう! 今すぐ行こう!!」


そのままあたしの腕を引っ張って、ぐんぐん進むおじさん。

背が高くて、おまけに足も長いおじさんに腕を掴まれたまま、あたしは小走りでついて行くのが精一杯。

ていうか、こんなとこでこんなことしてる場合じゃないんだってばっ!!


「待ってまって! あたし今日はパートナーがいるから……!」

物凄い強引なおじさんをなんとか止めようと、ありったけの力で地面を踏みしめた。

「だいじょーぶ、だいじょーぶ?」

だけど、あたしの抵抗をモノともしないおじさんは更に足を進める。

「全然大丈夫じゃないんだって~~~!!」

あたしの声が聞こえないのか、おじさんは鼻歌を歌いながらあたしを誘拐した。





******




「「やっべぇ……。」」



つくしの姿を見失った二人は、青ざめてその場に立ち尽くす。

すぐにつくしと束の接触を発見することは出来たが、人ごみの多いパーティー内では近づくこともままならなかった。

それに加え、あの行動の速さ。


「ぜってえ確信犯だろ、アレ。」

「だよな。 俺らと目が会うなり牧野連れてどっか行きやがった。」

「俺ら司に殺されるかもな……。」


ハハハ… と乾いた笑いが二人から漏れた。


「……牧野がどうしたって?」

「「っ!!!!」」


背後から聞こえる声に、ビクーーーーっと二人の背筋が凍りついた。


「「つっ、つかさ!!」」

「あ? なんだよいきなり。」

「い、いや……。」

「司 お前、仕事はいいのか?」

「ああ? 今の秘書はお前だろーが、あきら。 そんなんお前が良く知ってんだろ。」

「お、おぉう。 それもそうだったな。」


とは言え、この短時間で済ませられるような人の数ではなかったはずだ。

まさか、この男……。


「安心しろよ、すっぽかして来た訳じゃねー。」


あきらの不安そうな顔を見てとったのか、先回りして言う。


「あああああ~、ビビった。」

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