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夢か現か。 後編

「つくしちゃんお願いっ!」

「お姉さん……?」



** 20時間前 **



今日受けるハズだった講義がいきなり休講になり、バイトもないしであたしは暇を持て余していた。

仕方がないから睡眠不足でも解消しようと、一度仕舞ったお布団を引っ張り出して 目を閉じていたところに一本の電話が入った。



プルルル

プルルル


「ぅんっ?」


ーーーー誰だろう。


非通知の番号?


知らない番号から掛かってきていて、怪しく思いながら恐る恐る出ると、開口一番。電話先の相手はあたしの鼓膜を突き破るような大声を出した。


「も、もしも……」

「あーっ!! つくしちゃん!? つくしちゃんよねっ!?」

キーン

「えぇまぁ、そうですけど……?」

「ああ~ 良かったっ! やっと繋がった!」


ーーーーん?

この声ってもしかして……。


「……椿 お姉さんですか?」

「そうよ! お久しぶりっ!」

「わぁ。 お久しぶりです! お姉さんから電話掛かって来ると思ってなくて、ビックリしました~。」

「驚かせちゃってごめんなさいね。 そうなのよ~。最近旦那に付いて海外を回っていたから日本に全然帰れなくって。 つくしちゃんが元気そうで、安心したわ。」

「あははっ。 あたしは元気だけが取り柄ですから♪」

「ふふっ、つくしちゃんか変わってなくて嬉しい。」

「ところでお姉さん、何かあたしに用があったんじゃなかったんですか?」

「……ああーッ! そう! そうなのよっ! つくしちゃんにお願いがあるのよっ!」

「…………。」

何か、イヤな予感?

「悪いんだけど、今日 ウチまで来てくれないっ!?」

「え。 お姉さん今日、道明寺家に居るんですか?」

「そうなのよ! 居るっていうか、私も今向かってるところなんだけどね。 もう迎えの車がそっちに行ってると思うから! 」

「えっ!?」





~ 5分後 ~



ピンポーン


「………………はっや。」


ただならぬ様子のお姉さんからの要請があり、急遽 昼寝を取りやめて、あたしは道明寺家に向かった。



*****


「あっ、せんぱいっ!」

「いらっしゃい。 よく来たね。」

「おはようございます。 牧野様。」



道明寺家に着くなり、出迎えてくれたタマ先輩と使用人の皆さん。

椿お姉さんは何処に居るのか辺りを見渡したけど、見当たらなくって。

「あの、センパイ? 椿お姉さんは……。」

「なんだい? 椿様はまだ時間がかかるようだからね、お茶でも飲んでゆっくりおし。」

「あ、はい。 頂きます。」

ーーーーお姉さん、忙しいって言ってたしね……。

タマ先輩と2人でテラスに移動して、お茶を頂きながら道明寺家の庭に植えられた花を愛でた。

「本っ当に、今日は天気がいいですねぇ~。」

お昼寝しようとしてたなんて勿体ない。

雲一つない晴天。

ほら、あの飛行機が作る飛行機雲だってこんなに絵になる。

「うら若い娘が、ババ臭い事いってんじゃないよ。」

「だってー。こんなにキレ……イ?」


ーーーーんんっ??


「せせせっ、センパイッ??」

「はいはい。」

「センパイってば!!」

「……なんだい。うるさい子だね。」

「ちかっ、近づいてきてませんかっ!? アレッ! 見てっ!」

タマはうっとおしそうにつくしを見遣ると、慌てふためくつくしとは対極に、タマは至って冷静で。


「大丈夫だよ。」

「……………………へっ?」


相も変わらず呑気に ズズズッ とお茶を啜っている。

今にもここに落下しそうな勢いで、飛行機だかジェットだかヘリだか何だかわかんないけど、ここに急接近してるっていうのに、何が大丈夫なのッ!?

つくしがパニック状態になっていると、タマはつくしを見て ニヤっと笑った。





「椿様のお帰りだよ。」





*****


「……という訳で、あたしはアンタのお姉さんにここに連れて来られたの。」

「……で?」

「だからね? あたしはアンタの看病しに来たわけじゃないの。 明後日は普通に学校もあるし団子屋のバイトもファミレスのバイトだってある。 それに、勉強だってしなくちゃいけないの。分かる?」

「おう。」

「わかったならこの手離して!」

部屋を出て行こうとする牧野を引きずって、無理矢理ソファーに座らせた。

それでも逃げようとするから、両手首まとめて捕まえた。

「……全く、わかんねえな。」

「おいっ!!」

「っつーか、お前さぁ……。」

ギロリと司の目が光った。

「…………ぅあ?」

睨んでる睨んでる睨んでる。

「深夜のファミレスのバイトは危ねえから、俺は辞めろって言ったよな?」

「んで、お前は辞めたっつってなかったか?」


ーーーー そうだった!!


「そそそ、それは、そのっ……!」


ヤバイ。

自ら 地雷踏んじゃった?


「ご、ごめん……。」


確かにファミレスのバイトは辞めたけど、どーしても人手が足りないと言われて一日だけの約束でOKしてしまったのだ。

でも、道明寺にそれは言っていない。

言ったらきっと、ふざけんなって怒るだろうなってわかってたから。



…………………………こんな風に。




結果的に、嘘をついたのとかわらなくなってしまって、罪悪感に苛まれて謝り倒した。

暫くはずっとムスッとしていたけど、最終的には

「……しゃーねえな。」

と言ってくれた。

ーーーー ホッとした。

不機嫌極まりない顔だけど、なんとか許してくれそうだ。

「その代わり、今日はずっとここに居ろよ。」

「んなっ!?」

「当たり前だろ。 お前のワガママばっか聞いてられっか。」

「?っ……。」

た、確かにそうかも……。

「んで、ここで一緒に寝ようぜ。」

「!?」

「イヤとは言わせねー。」

「へ、変なことしない?」

「する。」

ーーーー!!

「……って言いたいとこだけどな。身体が怠くて今日は無理。」

「あ……。」

そうだった。

すごい熱だったもんね。

「じゃ、早く寝ないと。」

と言うなり、牧野はあっさり隣に潜り込んで来た。

「……お前、やけに素直じゃね?」

「そ、そうっ?」

「…………。」


牧野め。

俺が手ぇ出せねーからって、安心しきってやがるな。

「……なぁ。」

「ん?」

「手、繋いで?」

「ん? あ、あぁ。はいはい。」

牧野は少し赤くなったけど、またしても素直に繋がれた。



ーーーーじゃあ、これはどうだろうか。



「キスして? 牧野。」

「はあっ?」

「あんたっ! 病人のクセになに言って……!」

「して?」


俺は粘り強く、牧野を見つめる。


「っ……!!////」

「しょ、しょうがないなぁ……。」


観念したのか ボソッと呟くと、仰向けになった俺に牧野の唇が落ちて来た。








ちゅ。











「やべ。」

「?」

真っ赤な顔した牧野が俺を見下ろしている。

「これ 夢か?」

「……何、いってんの?」

「幸せすぎ。 や、きっと夢だろこれ。」

「ばっかじゃない。」

そう言って、もとの体勢に戻ろうとした牧野。

「確かめさせろ。」

…の、首裏を捕まえた。

「うわっ!? 何、なになになにっ!?」

暴れ出すのを無視して。

顔の角度を調整してグッと引き寄せたら、


「夢じゃないって、確認させろ。」


唇が触れるまで

あと、1センチ。


「ばっ! ……!? んっ!? んんんんん~~っ!!」









夢か、現か、幻か。


なんにしても、牧野がここに居るのは確からしい。


夢でも、現実でも、幻でも。


今、目の前に居る牧野を 溺れるくらい愛してる。






おわり。




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